アメリカのIT大手アップルは、ティム・クック会長が各国の政策立案者との交渉役を担うと発表しました。同氏は来週、ホワイトハウスで開催される中国の習近平国家主席を招いた公式晩さん会に出席する予定です。クック氏が政府との外交役を引き受けることで、新たにCEO=最高経営責任者に就任したジョン・ターナス氏を政治的な対立から守る狙いがあるということです。
クック氏がCEOを務めていた期間、移民政策やDEI(多様性・公平性・包摂性)などを巡り、アメリカ政府との関係構築と企業の価値観の維持を両立させることが大きな課題となっていました。
例えば2018年には、アメリカの移民政策の変更が多くの従業員に影響を及ぼしました。当時、クック氏を含む複数の企業トップは、政策変更が「数千人の従業員に大きな不安を与え、企業の事業運営に支障をきたすおそれがある」として、政府に書簡を送っています。
また昨年には、トランプ前大統領がアップルのDEI政策を廃止すべきだと主張し、クック氏が難しい対応を迫られる場面もありました。これに対しクック氏は、法律の変更には従うものの、企業の価値観は妥協しない姿勢を示していました。
アップルは今年に入り、クック氏の会長としての新たな役割に、各国の政府や政策立案者との調整が含まれると発表しました。
ブルームバーグの報道によりますと、クック氏はオープンAIのサム・アルトマンCEOとともに、来週ホワイトハウスで開かれる中国の習近平国家主席の公式晩さん会に出席する予定だということです。現在、アメリカと中国の間では、AI=人工知能の開発競争や国際貿易、中東情勢などを巡り地政学的な緊張が高まっており、難しいかじ取りが求められる時期での開催となります。
こうした外交的な役割をクック氏が引き受けた背景には、後任のターナス新CEOを不必要な混乱や論争から解放する戦略的な狙いがあるということです。
アメリカや中国をはじめとする各国の政策や法律への対応において、ターナス氏の発言には引き続き一定の制約が伴う方針です。しかし、政府への公式な対応をクック会長が担うことで、新CEOはより柔軟に事業運営に専念できる環境が整うとしています。
