アメリカのIT大手アップルは、政府などが関与する高度なスパイウェアによるサイバー攻撃の標的となった可能性があるとして、世界110か国のユーザーに対して新たな警告を通知したと発表しました。
アップルは、iPhoneやiPad、Macなどの端末がハッキングの被害に遭うおそれがある場合、定期的にユーザーへ通知を行っています。同社によりますと、これまでに世界150か国以上のユーザーに対して同様の警告を行っており、スパイウェアの脅威が世界的に拡大している現状が浮き彫りになっています。
アップルは自社のウェブサイトを更新し、iPhoneのロック画面に直接プッシュ通知を表示して、ユーザーに迅速な対応を促す仕組みを導入したとしています。通知には「アップルは、あなたのiPhoneを標的とした金銭目的のスパイウェア攻撃を検知しました。データと端末を保護するために、今すぐ実行できる対策があります」というメッセージが表示されるということです。
また、電子メールやアカウントへのログイン時にも同様の警告が送られます。カナダのトロント大学を拠点とする研究機関「シチズン・ラボ」の上級研究員であるジョン・スコット・レイルトン氏が、今回の新たな通知についてSNS上で指摘していました。
アップルは、こうした警告を受け取った場合、事態を深刻に受け止め、直ちに端末とデータを保護する措置を講じるよう呼びかけています。具体的には、サイバー攻撃の成功率を大幅に下げるセキュリティ機能「ロックダウンモード」を有効にすることを推奨する方針です。同社によりますと、これまでにロックダウンモードが有効な状態でハッキングされた事例は確認されていないということです。
スパイウェアによる攻撃は一般的にはまれであるものの、近年は監視技術の拡散に伴い、一部の政府が市民社会のメンバーや批判的な立場の人々を標的として悪用するケースが報告されています。
シチズン・ラボのスコット・レイルトン氏は、2021年にアップルが警告通知を開始して以来、今回のプッシュ通知の導入はユーザーに支援を求めるよう促す上で「大きな進歩だ」と評価しています。同氏は「通知によって被害の調査が始まり、さらに多くの事例が明らかになることが多い」と指摘し、過去にはポーランドの選挙におけるスパイウェアの悪用問題も、アップルの通知がきっかけで発覚したと述べています。
