アメリカのIT大手アップルが手がけるゴーグル型端末「Vision Pro」向けの映像作品の撮影中に、出演者のパイロットが小型機で墜落し死亡する事故が起きていたことが明らかになりました。撮影スタッフからは事故の前に、労働環境や安全管理に関する懸念がアップル側に報告されていたということです。
アメリカのメディアなどの報道によりますと、事故は2024年に中東・ヨルダンの砂漠地帯で発生しました。亡くなったのは、イギリス出身のパラアスリートでパイロットのクレア・ローマス氏です。
ローマス氏は当時、アップルの「Vision Pro」向けに配信される没入型ビデオシリーズ「Adventure(アドベンチャー)」の撮影を行っていました。関係者によりますと、墜落した超軽量動力機にはカメラシステムが搭載されており、事故の瞬間も撮影が続けられていたということです。
この映像作品は、先駆的なアスリートが過酷な挑戦に臨む姿を追うドキュメンタリーとして、昨年の公開が予定されていました。
一方、このシリーズの制作をめぐっては、事故が発生する前から、出演者やスタッフの安全確保について懸念の声が上がっていたということです。具体的には、安全基準を超える長時間労働や、過酷な気象条件での撮影のほか、十分な訓練を受けていない状態での機材操作などが問題視されていました。
スタッフからの報告を受けたアップルは、対策として安全管理の専門家を派遣し、定期的に制作現場に同行させる方針をとっていたとしています。なお、このシリーズに関連した他の重大な事故の記録はないということです。
事故の詳しい原因については、現在も専門機関による調査が続けられています。超軽量動力機による飛行は、一般的な小型機と比較して事故のリスクが高いとされており、撮影現場における安全管理のあり方が改めて問われることになります。
