アメリカのIT大手アップルが直営店で実施したゴーグル型端末「Vision Pro」の発売時の対応について、現場の従業員への研修が不十分であり、多くの店舗で混乱が生じていたとアメリカのメディアが報じました。長年にわたる店舗の人員削減やコスト削減が背景にあると指摘されています。
報道によりますと、アップルは当初、数百人の従業員を本社に集めて数日間の研修を行い、その後各店舗で他のスタッフ向けに4時間のワークショップを実施する計画を立てていました。しかし、実際には複雑な実演手順を習得するための時間がわずか1時間しか与えられず、従業員同士で練習する機会も十分に確保されなかったということです。
また、2024年初頭の発売時点で、多くの販売スタッフが直前に採用されたばかりであり、新製品発売の経験が乏しかったとされています。店舗の人手不足も重なり、本社が意図した研修時間を確保できないまま、顧客への対応を余儀なくされた従業員もいたということです。
元従業員らの証言によりますと、創業者のスティーブ・ジョブズ氏の時代には、十分な人員を配置し、顧客に対する1対1の丁寧な操作指導に重点が置かれていました。しかし、その後のコスト削減策により、こうした手厚いサポート体制は徐々に縮小され、現在では製品の販売促進を主眼としたイベントに置き換えられているとしています。
アップル関連の専門メディアは、直営店におけるサポート体制の低下は10年以上前から進行していると指摘しています。店舗の混雑やサポートの遅れを解消するためには、人員の増強だけでなく店舗数の拡大が必要だとしたうえで、今回の「Vision Pro」の販売における課題も、こうした長年の経営方針の変化が影響しているとしています。
