アメリカの通信社ロイターは、中国による技術窃取の試みなどにより、アメリカのIT大手アップルの半導体製造を担う台湾のTSMCに対し、新たな脅威が迫っていると報じました。台湾当局も警戒を強めているということです。
アップルのティム・クックCEOは以前、台湾に関する機密情報のブリーフィングを受けた後、強い警戒感を示したと報じられており、現在もその懸念は払拭されていないとみられています。
中国は台湾に対する軍事的圧力を強めており、島全体を封鎖する大規模な軍事演習を行うなど、有事への懸念が高まっています。欧米の安全保障機関は、ロシアによるウクライナ侵攻への国際社会の対応が、中国の行動に影響を与える可能性があると警告しています。しかし、TSMCに対する脅威は軍事的なものだけではないということです。
ロイター通信の報道によりますと、台湾の独立性や世界トップクラスの半導体製造技術に対し、さらに3つの脅威が存在するとしています。
第1に、中国による人材の引き抜きです。台湾の国家安全局は、「中国は台湾の高度な半導体技術や製品を獲得する目的で、間接的なルートを通じて人材の引き抜きや技術の窃取、規制品の調達を続けている」と明らかにしました。
第2に、大規模なサイバー攻撃です。台湾当局のネットワークに対しては、今年第1四半期だけで1億7000万回以上の不正アクセスの試みが確認されたということです。TSMCもこうした攻撃の標的になっている可能性が高いとみられています。
第3に、選挙への介入の懸念です。台湾当局は、中国が情報収集や監視、データ窃取を拡大する目的で、台湾の選挙に介入する準備を進めている可能性を排除できないとしています。
こうした状況を受け、アップルは生産拠点の分散化を進める方針です。部品製造や組み立てを中国に、最先端の半導体製造を台湾に依存する現状を改善するため、インドでのスマートフォン「iPhone」の生産割合を拡大しています。また、TSMCに対しても、アメリカ・アリゾナ州での半導体工場建設を支援しています。
しかし、最先端の半導体製造においては、現在世界でTSMCしか対応できない技術的優位性があり、アップルにとって台湾への依存を完全に脱却することは困難な状況が続いているということです。
