アメリカのIT大手マイクロソフトは、従業員を対象とした新たな早期退職制度を導入したと発表しました。この動きを受け、同じくIT大手のアップル(Apple)も同様の制度を取り入れ、組織の再活性化を図るべきだという見方が出ています。
マイクロソフトが発表した制度は、年齢と勤続年数の合計が70以上となる従業員を対象に、自主的な早期退職を認めるものです。退職者には手厚い退職金が支払われるとみられています。
IT業界では、新型コロナウイルスの感染拡大期に各社が大規模な採用を行いましたが、その後の成長鈍化に伴い、過去数年間にわたって人員削減が続いています。マイクロソフトの今回の措置は、企業イメージを損なわずに人員を削減する狙いがあるということです。
一方、アップルはコロナ禍での過剰な雇用を控えたため、大規模な人員削減を回避してきました。しかし、その反面、新規採用のペースを大幅に抑えているため、新たな人材の確保が遅れていると指摘されています。
その結果、社内には長年勤務するシニア層の従業員が多く滞留する状況が生まれています。これらの従業員は定年退職の年齢には達していないものの、自発的に退職する動きは少ないということです。
この背景には、IT大手特有の報酬制度があります。従業員は高額な給与に加え、通常4年などの一定期間を経て権利が確定する株式報酬を受け取ります。業績に応じて追加の株式も付与されるため、従業員は報酬を最大限に受け取るために会社に留まり続ける傾向があります。
この仕組みは人材の引き留めに有効な半面、勤続年数が長くなると、最低限の業務だけをこなして権利確定を待つ従業員を生み出す要因にもなっています。専門家は、新規採用が停滞する中でこうした状況が続けば、業務の効率やソフトウェアの品質低下を招くおそれがあると指摘しています。
アップルは伝統的に大規模な支出に対して慎重な姿勢を示しており、今後も急激な採用拡大に踏み切る可能性は低いとみられています。
しかし、経営トップの交代が見込まれる中、次期最高経営責任者(CEO)の候補とされるジョン・ターナス氏などの新体制においては、シニア層に早期退職の選択肢を提示することが有効な戦略になるとしています。
具体的には、年齢と勤続年数の合計が60以上などの条件を設定し、段階的に制度を導入することで、急激な人材流出を防ぎながら組織の新陳代謝を促すことができるということです。新たな人材を迎え入れることは、アップルの将来に向けた重要な基盤になると期待されています。
