アメリカのCISA=サイバーセキュリティー・インフラセキュリティー庁は、全米の100か所以上の上下水道施設を標的としたサイバー攻撃を確認したと発表しました。
アメリカ国内の重要インフラを狙ったハッキングが相次ぐ中での事態だということです。ミシガン州やミネソタ州など、少なくとも7つの州で水道事業者を狙ったサイバー攻撃が続いており、今回の発表は被害の規模の大きさを浮き彫りにしています。
サイバー防衛や重要インフラの保護を統括するCISAによりますと、攻撃の大部分は「PLC」と呼ばれる制御装置を標的にしているということです。この装置は、水道やエネルギーシステムなどの重要インフラにおいて、物理的なシステムや機械の制御に使われています。
ここ数週間、ハッカーは複数のメーカーが製造した制御装置を狙っています。CISAは以前、ハッカーが公開情報を基にAIツールを活用し、脆弱性のある装置を攻撃するプログラムを作成していると指摘していました。
これまでのところ、地域社会への上下水道の供給に大きな影響は出ていないということです。しかし、インシデント対応チームが調査を行う過程で、システムの停止や混乱が生じています。
CISAは、一部の攻撃において、ハッカーが制御装置を改ざんし、システムの停止機能や警報を無効化していたと報告しています。これにより、事業者が気づかないまま「安全ではない状態」が生じるおそれがあったとしています。被害を受けた地域の多くは地方にあり、重要インフラが停止した場合、広範囲の住民に影響が及ぶ懸念があります。
アメリカの政府高官を引用した報道によりますと、情報機関は、イランが水道事業者を狙った攻撃に関与している可能性が高いとみているということです。これはアメリカやイスラエルとの対立を背景にしたものとみられていますが、現時点で断定には至っていません。
一連の攻撃により、アメリカ国内の重要インフラにおけるサイバーセキュリティー対策と、システム復旧能力に対する懸念が広がっています。
アメリカ政府は近年、中国のハッカーが台湾有事の際の陽動作戦として、重要インフラに破壊的なマルウェアを仕掛けていると警告してきました。また、ロシアもNATO=北大西洋条約機構を試す目的で、ヨーロッパ各地の水道や電力網に対するサイバー攻撃に関与していると指摘されています。
