アメリカ航空宇宙局(NASA)は、アメリカとカナダの宇宙飛行士4人が搭乗する宇宙船「オリオン」が、月の裏側を回る歴史的な飛行を終え、地球に帰還すると発表しました。
リード・ワイズマン船長ら4人の宇宙飛行士は、10日間にわたって宇宙船「オリオン」に滞在しました。NASAによりますと、宇宙船はアメリカ東部時間の午後7時33分に大気圏への再突入を開始し、午後8時7分にカリフォルニア州サンディエゴ沖の太平洋に着水する予定だということです。NASAは、着水の様子をインターネットでライブ配信する方針です。
「アルテミス2号」は、人類が50年以上ぶりに月の軌道へ向かったミッションです。宇宙飛行士たちは、地球からおよそ40万キロメートル離れた地点に到達し、人類として過去最も遠くまで飛行したということです。これはニューヨークとロサンゼルスを約100回往復するのと同じ距離に相当しますが、宇宙飛行士たちはミニバン2台分ほどの限られた居住空間で過ごしました。
今回のミッションの主な目的は、将来の月面着陸や探査に向けたデータ収集です。深宇宙において有人での宇宙船の性能を評価するため、地球との通信システムのテストや軌道修正、そして安全な大気圏再突入と着水に向けた試験が行われました。
地球への帰還における着水は、ミッションの中で最も危険な段階の1つとされています。2022年に行われた無人の「アルテミス1号」のミッションでは、大気圏突入時におよそ2700度の高温から機体を守る耐熱シールドが、想定外の損傷を受ける事態が発生しました。NASAは、仮に人が乗っていても安全に帰還できたとしていますが、損傷の原因について詳細な調査を進めてきました。今回も、4人の宇宙飛行士が安全に帰還できるかどうかに世界中から関心が集まっています。
一行は4月1日に地球を出発し、機内設備の不具合など日常的なトラブルに見舞われながらも、月の裏側から貴重な画像やデータを地球に送信しました。また、新たに発見したクレーターに、ワイズマン船長の亡き妻にちなんだ名前を付けるなどの活動も行われました。
さらに、月の近くから皆既日食を観測するという、宇宙飛行士として初めての経験もしました。搭乗員のクリスティーナ・コック飛行士は、「太陽が月の後ろに隠れるだけでなく、地球に反射した光が月を柔らかく照らし出す様子も見ることができた」と語っています。
