アメリカのAI(人工知能)開発企業であるアンソロピックは、AIを活用してプロトタイプやプレゼン資料などの視覚的なコンテンツを迅速に作成できる新たな実験的製品「クロード・デザイン」の提供を開始したと発表しました。
この新機能は、デザインの専門知識を持たない起業家やプロダクトマネージャーなどが、自身のアイデアをより簡単に共有できるように開発されたということです。利用者が希望する内容を文章で入力すると、AIが初期段階のデザイン案を作成します。その後、利用者は直接編集を加えたり、追加の指示を出したりすることで、視覚資料を完成させることができます。
例えば、「落ち着いた雰囲気の瞑想アプリのプロトタイプを作成してほしい。リラックスできる書体と、自然を連想させる控えめな色合いで、すっきりとした配置にしてほしい」と指示することが可能です。さらに、色や文字の大きさを微調整したり、画面を暗くする「ダークモード」の切り替え機能を追加するよう求めたりすることもできるとしています。
デザイン作成ツールの「キャンバ」と競合するように見えますが、アンソロピックはIT専門メディアの取材に対し、既存のツールを置き換えるものではなく、補完する目的があると説明しています。デザインツールを使い慣れていない人が、頭の中にあるアイデアを素早く形にするための製品だということです。
作成したプレゼン資料やプロトタイプは、PDFやURL、パワーポイント形式で出力できるほか、キャンバに送信することも可能です。キャンバに移行した後は、自由に編集や共同作業を行うことができるとしています。
また、企業のプログラムコードやデザインファイルを読み込ませることで、チーム独自の「デザインシステム」をすべてのプロジェクトに適用できるということです。これにより、企業全体の視覚的な統一感を保つことが可能になります。
この新製品は、最新のAIモデル「クロード・オーパス4.7」を基盤としており、現在は「プロ」「マックス」「チーム」「エンタープライズ」の各有料プランの利用者を対象に、研究開発のプレビュー版として提供されています。
今回の発表は、職場におけるAIツールの競争が激化する中、アンソロピックが企業向けや専門的な消費者向けの市場をさらに開拓していく方針を示しています。同社は今年1月にも、複雑な業務を処理するAIアシスタント機能「クロード・コワーク」を発表し、各部門の専門的な業務を自動化する機能を追加するなど、企業向けサービスの拡充を進めています。
一方、アメリカの経済メディアの報道によりますと、複数のベンチャーキャピタルがアンソロピックに対し、企業価値を競合のオープンAIに匹敵するか上回る8000億ドル(約124兆円)以上と見積もる資金調達を打診しているということです。しかし、報道によれば、アンソロピック側は現在のところこの提案に関心を示していないとしています。
