アメリカの電動航空機メーカー「アーチャー・アビエーション」は、かつて競合関係にあった同業の「ウィスク・エアロ」を買収したと発表しました。
アメリカの規制当局に提出された文書によりますと、航空機大手ボーイングは、傘下のウィスク・エアロなど子会社3社をアーチャーに売却するということです。売却されるのはウィスクのほか、デジタル空域・航空交通管理ソフトウェアを手がける「スカイグリッド」と、ドローン製造の「インシツ」です。
この取引に伴い、ボーイングはアーチャーの新規発行株式を受け取ります。これにより、ボーイングは買収完了後のアーチャー株の約16.5%を保有する見通しだということです。
アーチャーとウィスクはともに、「空飛ぶクルマ」と呼ばれる電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を進めてきました。両社はかつて激しく対立しており、2021年4月にはウィスクが機密情報の窃取を理由にアーチャーを提訴しました。
法廷闘争は2年間に及びましたが、その後、両社は和解に至りました。アーチャーが求めていた10億ドル(約1550億円)の損害賠償請求も取り下げられ、ウィスクがアーチャーに自動運転技術を独占的に提供するという新たな協力関係が結ばれていました。
ウィスク・エアロはもともと、グーグルの共同創業者ラリー・ペイジ氏らが支援した航空スタートアップ「キティホーク」から派生した企業です。2019年にボーイングとの合弁会社として設立され、自律飛行型の電動エアタクシーの開発を進めてきました。ボーイングは2022年に4億5000万ドル(約697億円)を追加出資するなど多額の資金を投じ、2023年にはウィスクを完全子会社化していました。
一方、2018年に設立されたアーチャーは、当初のエアタクシー事業から防衛分野へと事業を拡大する戦略をとっています。2024年12月には新たな防衛プログラムの資金として4億3000万ドル(約666億円)を調達し、2025年にも機関投資家から3億ドル(約465億円)を追加調達しました。さらに、防衛関連企業のアンドゥリルと独占契約を結び、防衛用のハイブリッド型垂直離着陸機の共同開発を進める方針です。
アーチャーは現在、完全電動航空機「ミッドナイト」の開発も順調に進めているとしています。今月にはパイロットが搭乗した往復飛行を完了させており、年内にはアメリカ政府のパイロットプログラムの下で実際の運用を開始する計画だということです。
