インドのAIコーディング支援スタートアップ企業「Emergent(エマージェント)」は、シリーズCの資金調達ラウンドで1億3000万ドル(約201億5000万円)を調達したと発表しました。これにより、同社の企業価値は15億ドル(約2325億円)に達し、わずか半年で5倍に急増したということです。
今回の資金調達は、プライベート・エクイティ・ファンドのCreaegisが主導しました。新たな投資家としてMNI Ventures-ClaypondやSentinel Globalが参加したほか、既存の投資家であるKhosla Ventures、ソフトバンクのビジョン・ファンド2、Lightspeed、Y Combinatorなども出資しました。
これにより、Emergentのこれまでの累計資金調達額は2億3000万ドル(約356億5000万円)に達しました。同社は今年1月にも、企業価値を3億ドル(約465億円)として7000万ドル(約108億5000万円)を調達していました。
現在、AIを活用したコーディング支援技術には多くの投資家が注目しており、開発者の作業を効率化するツールの開発に向けて、多額の資金が投じられています。また、OpenAIやAnthropicなどのAI研究機関も、この分野への参入を深めています。
こうした競争が激しい市場において、Emergentは、新たに事業を立ち上げる起業家や、これまでメールや表計算ソフトなどに依存してきた中小企業を主な対象として、シェアの拡大を図る方針です。
同社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるムクンド・ジャ氏は、IT専門メディアの取材に対し、「私たちの目標は、本格的な開発者向けに実用レベルのアプリケーションを構築することです。つまり、エンジニアリングチームを丸ごと提供するようなものです」と述べています。
ジャCEOによりますと、同社の年間換算売上高は1億2000万ドル(約186億円)に達し、過去4か月間で70%増加したということです。また、有料顧客数は20万人を超えているとしています。同社は昨年6月、ムクンド・ジャ氏と、最高技術責任者(CTO)を務める弟のマダブ・ジャ氏によって設立されました。
顧客には、配送状況を追跡するソフトウェアを構築する運送会社や、工場、基幹業務システムを開発する建設会社、社内の顧客管理ツールを開発する不動産管理会社などが含まれているということです。
売上高の地域別の割合は、北米が約3分の1、ヨーロッパが約3分の1を占めており、残りがその他の市場となっています。インド国内の割合は8%から9%程度だとしています。
Emergentは中小企業や起業家を主なターゲットとしているため、競合他社の中でも「Replit」が最大のライバルになるとしています。ジャCEOは、開発者向けのツールとは異なり、技術的な専門知識がないユーザーには、プログラミングだけでなく、システムの展開や保守、テストなどを一括して処理できるプラットフォームが必要だと強調し、自社の優位性を主張しています。
一方で、AIツールを使用して構築されたウェブサイトはデザインが似通ってしまう傾向があるとして、デザイン面が依然として課題であることも認めています。
Emergentは今回調達した資金を活用して、製品開発と研究を加速させる方針です。具体的には、プラットフォーム上で構築されるアプリケーションの成功率の向上や、中核となるAIエージェントの機能強化などを進めるとしています。また、オープンソースのAIモデルを活用した、より複雑なアプリケーションへの対応を進めるとともに、市場展開の拡大にも投資していくということです。
さらに、顧客の関心が高まっているヨーロッパに、新たなオフィスを開設することも検討しているとしています。
同社は現在、約200人の従業員を抱えており、その大半がインド南部のベンガルールで勤務していますが、一部はアメリカのサンフランシスコに拠点を置いています。ジャCEOは、今年末までにサンフランシスコのオフィスを30人から40人規模に拡大する計画だとしています。
