インドの教育関連のITスタートアップ企業「アンアカデミー」は、同業の「アップグラッド」に約319億円(約2億600万ドル)で買収されたと発表しました。企業価値は、2021年のピーク時から約94%下落したということです。
買収は株式交換によって行われました。アップグラッドの共同創業者によると、アンアカデミーの株主にはアップグラッドの株式が割り当てられ、一部の初期投資家には現金が支払われたということです。ソフトバンクやタイガー・グローバルなどの国際的な投資家から支援を受けていたアンアカデミーは、2021年のピーク時には企業価値が約5332億円(約34億4000万ドル)に達していました。
アンアカデミーのガウラヴ・ムンジャル最高経営責任者(CEO)は、SNSを通じて買収の手続きが完了したことを報告し、「ピーク時に資金を調達したが、今回はそのごく一部の価値で売却した」と述べました。
一方で、同社には約147億円(約9480万ドル)の資金が残っており、年間収益も約65億円(約4213万ドル)あるとしています。大半の事業は黒字化またはそれに近い状態にあり、独立して事業を継続する選択肢もあったということです。
2015年に設立された同社は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うオンライン学習の需要急増を受け、2020年から2021年にかけて多額の投資を行いました。しかし、対面授業の再開により需要が落ち込んだため、コスト削減や人員整理などの事業再編を進めていました。
関係者によると、同社の経営陣は事業規模の拡大や将来的な株式上場を見据え、教育分野のさらなる多角化が必要だと判断したということです。実店舗での教育事業に強みを持つアップグラッドの傘下に入ることが、その目標を達成する有効な手段になったとしています。
今回の買収には、アンアカデミーが展開する語学学習アプリ「エアラーン」も含まれます。同アプリは150カ国以上で1000万人のユーザーを抱えており、今後半年以内に社内で事業を育成するか、外部から資金調達を行うかを決定する方針です。
買収後も「アンアカデミー」のブランド名は維持され、ムンジャル氏が引き続きCEOを務めます。また、約1000人の従業員に対する一時解雇は予定されていないということです。
これまでに約1364億円(約8億8000万ドル)を調達してきた同社の売却は、インドの教育IT業界が直面する厳しい現状を浮き彫りにしています。かつて企業価値が約3兆4100億円(約220億ドル)とされ、インド最大のスタートアップ企業だった「バイジュス」も、事実上企業価値がゼロとなり、2024年に破産手続きに入っています。
