イーロン・マスク氏が率いるSNS大手「X(旧ツイッター)」と、世界の主要な広告主でつくる「世界広告主連盟(WFA)」は、広告の出稿停止をめぐる長年の法廷闘争で和解したと発表しました。
今回の和解により、ブランドの安全性を懸念してXへの広告出稿を取りやめた企業に対し、法的責任を追及しようとしたマスク氏の強硬な姿勢はひとつの区切りを迎えることになります。
Xは2024年、WFAが組織的な「違法なボイコット」を行ったとして提訴していました。これは、2022年にマスク氏が440億ドル(約6兆8200億円)で同社を買収したあと、広告収入が減少したことを受けたものです。訴訟では、食品大手マースやCVSヘルス、シェル、レゴなどの企業が名指しされていました。一方、広告主側はこれらの主張を退け、広告費の支出先は企業が自由に決定できると反論していました。
連邦裁判所は今年3月、連邦競争法に基づく被害をX側が立証できなかったとして、この訴えを退けました。これに対し、Xは4月に控訴していました。
両者が発表した共同声明によりますと、「『責任あるメディアのための世界同盟(GARM)』に関する訴訟を終結させる」としています。これにより、両組織の関係を再構築する方針です。
X側はこれまで、広告主が支出を減らした背景には、WFAが主導するGARMのガイドラインがあると主張していました。GARMは、有害なオンラインコンテンツの隣に広告が表示されるのを防ぐ目的で設立された、企業や広告代理店の連合体です。
マスク氏がXのコンテンツ管理ポリシーを大幅に見直したことで、広告主の間では、自社のブランドが有害なコンテンツとともに表示されることへの懸念が広がっていたということです。
声明の中でWFAは、1953年の設立当初からの原則である言論の自由に対するコミットメントを改めて強調しています。また、2024年8月9日にGARMの活動を終了しており、今後同様の取り組みを再開しない方針を明らかにしました。そのうえで、ブランドの安全性を高める技術革新が、企業やプラットフォーム、消費者のすべてに利益をもたらすという見解でXと完全に一致したとしています。
マスク氏と広告主の対立は今回の訴訟にとどまりません。マスク氏はXの買収後、プラットフォームへの広告出稿を一時停止した企業に対し、公の場で不適切な言葉を使って強い非難を浴びせたこともありました。
