アメリカの半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は、AI=人工知能に複雑な作業を自律的に行わせるためには、AIモデルそのものよりも、その周辺で動作を制御するソフトウェア、いわゆる「ハーネス」が極めて重要であるとする新たな研究結果を発表しました。
研究によりますと、「ハーネス」とはAIモデルの周辺で動作するソフトウェアを指し、記憶の管理やルールの適用などを通じて、AIが自律的に行動するための基盤となるということです。
NVIDIAの研究チームは、記憶管理を最適化し、AIの行動を監視する「監督役」の機能を組み込んだ独自のハーネスを開発しました。このシステムを用いて特定のAIモデルをテストした結果、事前の指示がない状態からゲームのルールを把握してクリアする推論能力のテストにおいて、100%のスコアを達成したということです。ハーネスを使用しない場合のスコアは30%にとどまっており、周辺システムの重要性が浮き彫りになりました。
数日間にわたって連続した意思決定が求められる「長期的なタスク」をAIに実行させることは、現在のAI研究における大きな課題の一つとされています。
アメリカのIT大手マイクロソフトがことし4月に発表した研究では、最新のAIモデルであっても、文書編集などの長期的なタスクにおいては多くのエラーを発生させることが確認されています。また、オープンAIも自社のモデルのスコアを向上させるためにハーネスの調整が有効であることを確認していますが、NVIDIAのテストのような完全なスコアには到達していないということです。
NVIDIAのAI部門の幹部は、「作業を行うメインのAIに加えて、行き詰まった際や誤った方向に進んだ際に軌道修正を促す『監督役』のAIを導入することが重要だ」と指摘しています。
また、データ分析基盤を提供するデータブリックスのCEOは、ハーネスの選択がAIの運用コストにも大きな影響を与えると述べており、適切な周辺システムの構築が企業のコスト削減にもつながるとしています。
NVIDIAは、AIの安全性を確保し、関連する技術全体を前進させるためには、ユーザー自身が細かく制御できるオープンなシステム環境が必要不可欠だとしており、今後も関連技術の提供を通じてエコシステムの発展を後押ししていく方針です。
