ウェブサイト作成ソフト「ワードプレス」の関連サービスを運営するアメリカのIT企業「オートマティック」は、創業者で最高経営責任者を務めるマット・マレンウェッグ氏が休職し、最高財務責任者のマーク・デイビース氏が暫定トップに就任したと発表しました。
アメリカのIT専門メディアが確認した社内向け通信アプリのメッセージによりますと、マレンウェッグ氏は従業員に対し、自身の休職は本人の意に反して取締役会によって決定されたと説明しています。
マレンウェッグ氏は、デイビース氏や他の取締役が「背後で共謀して有給休職の処分に賛成票を投じた」と主張しています。また、決議案を会議のわずか50分前に受け取ったとしており、弁護士に内容を確認する時間を繰り返し求めたものの、拒否されたということです。
一方、オートマティック社は声明を出し、マレンウェッグ氏が休職中であることを認めたうえで、「取締役会は、デイビース暫定最高経営責任者のリーダーシップと、会社の優先課題を実行するチームの能力に全幅の信頼を寄せている」としています。
また、無償で公開されているオープンソース版の「ワードプレス」プロジェクトを統括するメアリー・ハバード専務理事は、今回の休職措置は商業部門であるオートマティック社におけるものであり、オープンソースのプロジェクトに影響はないと説明しています。マレンウェッグ氏は引き続きプロジェクトのリーダーを務めるということです。
オートマティック社は2003年にマレンウェッグ氏によって設立され、「タンブラー」などのブランドも所有しています。しかし近年、同社とマレンウェッグ氏は、競合するウェブホスティング企業「WPエンジン」との間で長期にわたる法廷闘争を抱えるなど、混乱が続いていました。
マレンウェッグ氏は、WPエンジン社がオープンソースのプロジェクトに貢献することなく利益を得ていると批判し、ワードプレスのブランド使用料として毎月の総収益の8%を支払うよう要求していました。これに対し、WPエンジン社は2024年10月に名誉毀損と権力乱用で提訴し、オートマティック社も反訴する事態となっていました。
さらに、マレンウェッグ氏の体制下では社内の緊張が高まっており、2024年には同氏の方針に反対する従業員に対して退職金付きでの離職を促し、159人が退職したということです。2025年4月には、全従業員の16%を対象とした一時解雇も実施されています。
今回の取締役会の決定について、詳しい理由は明らかになっていません。しかし、マレンウェッグ氏は自身のSNSへの投稿で、WPエンジン社との訴訟に関連して、証拠を隠滅した疑いをかけられる可能性に言及し、これを強く否定しています。また、今後自身に対する中傷的な攻撃が予想されるとも述べており、一連の対立が今回の休職措置の背景にあるとみられています。
