IT企業「オートマティック(Automattic)」のマット・マレンウェッグCEOが一時的に休職処分を受けた際、暫定CEOと最高法務責任者が互いに多額の退職金契約を結んでいたことが明らかになりました。会社側は、総額およそ815万ドル(約12億6000万円)に上るこの退職金の支払いについて、法的な妥当性を争う方針です。
9月9日、オートマティックの取締役会はマレンウェッグCEOを休職とする決定を下しました。この決定について、取締役会から公の場での説明は行われていません。マレンウェッグ氏は社内向けのメッセージで、マーク・デイビーズCFO(最高財務責任者)が一部の取締役と共謀して決定を強行したと主張しています。マレンウェッグ氏はおよそ33時間後にCEOに復帰し、休職に賛成した取締役はその後、退任しました。
関係者によりますと、マレンウェッグ氏が休職していた33時間の間に、暫定CEOに就任したデイビーズ氏と、最高法務責任者のアンディ・ミッサン氏は、互いの退職金契約に署名したということです。
契約には、12か月分の基本給の一括支給や、株式の権利確定の前倒し、さらに1年間の健康保険の適用などが含まれています。マレンウェッグ氏の復帰後、両氏は解雇されましたが、会社側が支払うべき退職金は2人合わせて815万ドル(約12億6000万円)に上るということです。
オートマティックの法務チームは現在、この退職金を支払うか、契約の法的な有効性を問うて争うかを検討しています。その後、会社側は新たな弁護士事務所と契約を結んだと発表しました。
契約内容は幹部側に有利な条件となっており、会社側が退職金なしで解雇できる「正当な理由」の基準が厳しく設定されています。重大な過失や意図的な不正行為などに限定されており、解雇の手続きにも取締役会の過半数の同意が必要になるということです。
一連の騒動の背景には、オートマティックの取締役会による内部の危機管理対応があったとする見方があります。同社は現在、ホスティング会社「WP Engine」との間で法的な争いを抱えています。WP Engine側は、マレンウェッグ氏が証拠となるメッセージ履歴を破棄したと主張しており、取締役会が企業リスクを軽減するために経営陣の交代を図った可能性が指摘されています。
一方で、取締役会が別の戦略的な取引を進めるために、一時的にマレンウェッグ氏を排除しようとしたのではないかという見方もあります。マレンウェッグ氏自身もこの可能性を疑っているとされていますが、取締役会から休職の理由が説明されなかったことが、疑念を深める要因になったとみられています。
オートマティック側は現時点でコメントを出しておらず、ミッサン氏とデイビーズ氏への取材も応じられていないということです。
