アメリカのIT大手マイクロソフトとAI開発を手がけるオープンAIは、両社の提携契約を改定したと発表しました。これにより、オープンAIがアマゾンと結んだ最大500億ドル(約7兆7500億円)の契約をめぐる法的な懸念が解消されるということです。
これまでの契約では、オープンAIが人間と同等の知能を持つ「汎用人工知能(AGI)」を開発するまで、マイクロソフトが製品や知的財産に対する独占的な権利を持つとされていました。新たな契約では期限が設けられ、マイクロソフトは2032年まで非独占的なライセンスを持つことになります。
両社は引き続き、マイクロソフトを「主要なクラウドパートナー」と位置づけています。オープンAIは10月に2500億ドル(約38兆7500億円)相当のマイクロソフトのクラウドサービスを利用することに合意しており、今後も大口顧客であり続ける方針です。また、オープンAIの製品は優先的にマイクロソフトのクラウド「アジュール」で提供されますが、今後は他のクラウド事業者を通じた提供も可能になるとしています。
今回の契約改定で最も注目されるのは、オープンAIとアマゾンの提携をめぐる法的な問題が解決した点です。
2月、オープンAIはアマゾンから最大500億ドル(約7兆7500億円)の投資を受けると発表しました。この内訳は、初期投資の150億ドル(約2兆3250億円)と、一定の条件を満たした後の追加投資350億ドル(約5兆4250億円)からなります。この提携には、アマゾンのクラウドサービス「AWS」での独占的な技術提供が含まれていました。しかし、これがマイクロソフトの持つ独占的権利と抵触する可能性があり、マイクロソフトが法的措置を検討する事態となっていました。
今回の合意により、マイクロソフトの独占的権利が撤廃され、アマゾンとの契約に関する法的なリスクが解消されました。アマゾンのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)も、オープンAIのモデルが自社のクラウドで利用可能になるとして、この合意を歓迎しています。
一方で、今回の改定はマイクロソフトにとっても利点があるということです。マイクロソフトからオープンAIへの収益分配の支払いが終了する一方、オープンAIからマイクロソフトへの支払いは上限付きで2030年まで継続されます。マイクロソフトは直近の四半期で、オープンAIへの投資から75億ドル(約1兆1625億円)の収益を上げています。また、同社は引き続きオープンAIの株式の約27%を保有する主要株主であり、オープンAIの成長から経済的な利益を得る立場にあります。
これまでの経緯として、11月にオープンAIとアマゾンが380億ドル(約5兆8900億円)相当のクラウド利用契約を締結し、2月には最大500億ドル(約7兆7500億円)の投資契約を発表していました。これに対し、マイクロソフトが自社の独占的権利を主張していましたが、今回の新たな合意によって両社の関係が再構築された形です。
この契約改定により、企業顧客は自社のニーズに合わせてAIモデルやクラウドサービスをより柔軟に選択できるようになり、利便性が向上するとみられています。
