アメリカのIT大手「オープンAI」は、半導体大手の「ブロードコム」と共同で、同社初となる独自のAI向け半導体を開発したと発表しました。
新たに発表された半導体は「ハラペーニョ(Jalapeño)」と名付けられました。オープンAIの推論システムが持つ独自のニーズに合わせて設計されたということです。開発にあたっては、同社自身のAIモデルも活用されたとしています。
現在、この半導体はテスト段階にありますが、初期の検証結果では、既存の最先端の半導体と比較して、消費電力あたりの処理性能が大幅に向上しているということです。
両社の提携は今年10月に正式に発表されていました。オープンAIが独自の半導体を開発する背景には、現在市場を独占しているアメリカの「エヌビディア」製画像処理半導体(GPU)への依存度を下げるねらいがあります。グーグルやアマゾンなどの大手IT企業も、機械学習の処理を高速化する「AIアクセラレーター」と呼ばれる独自の半導体を開発しており、オープンAIもこの動きに追随する形となります。
オープンAIのグレッグ・ブロックマン社長は、提携発表直後に配信された社内のポッドキャスト番組で、半導体開発のねらいについて説明しました。
ブロックマン社長は「私たちはAIの処理負荷について深く理解しています。十分な対応がなされていない特定の処理領域を見極め、可能性を広げるために何が構築できるかを模索してきました」と述べています。
今回開発された「ハラペーニョ」は、ユーザーの指示に対してAIモデルを実行する「推論」の処理に特化して設計されています。オープンAIは、リアルタイムでコードを生成するモデルなどを稼働させる際の、運用コストの低さを強調しています。AIの事前学習など、より高い処理能力が求められる作業には引き続きエヌビディア製の半導体が使用されるとみられますが、推論コストをわずかでも削減することは、企業の収益改善に大きく貢献するとしています。
推論システムの最適化は、今後のAIビジネスの経済性を左右する重要な要素になるとみられています。オープンAIはすでに、自律的に動作するAI製品やそれを動かすモデル、さらにそれらを稼働させるデータセンターの構築を進めています。独自の半導体開発に乗り出すことで、同社はこの取り組みをさらに推し進める方針です。
同社は発表のなかで、「私たちは最先端のモデルや製品を開発するだけでなく、半導体の設計からネットワーク、システム展開に至るまで、基盤となるインフラ全体を設計しています。すべての階層を最適化することで、AIモデルをより高速に、高い信頼性で、安価に提供していく方針です」としています。