アメリカの人工知能関連企業「Decagon」の最高経営責任者は、企業向けの人工知能市場において、無償で公開されるオープンソースのモデルが台頭しているものの、「Anthropic(アンスロピック)」などの最先端モデルを提供する企業への経済的な打撃にはつながっていないとする分析を明らかにしました。
同氏によりますと、企業における人工知能の導入が成熟するにつれて、より軽量なモデルへの移行が進んでいるということです。しかし、高価な最先端モデルへの支出総額はほとんど変化していないとしています。
これは、最先端モデルとオープンソースモデルが競合関係にあるのではなく、同じ導入プロセスの異なる段階を担っているためだと指摘しています。具体的には、高価な最先端モデルを用いて新たな活用方法を検証し、実用化の段階に入ったところで、より安価なオープンソースモデルに移行するという運用が行われているということです。実用化に伴って軽量モデルへの移行が進む一方で、新たな活用方法の検証が次々と行われるため、最先端モデルへの支出は減少しないとしています。
関連プラットフォームのデータもこの分析を裏付けています。開発プラットフォーム「Vercel」のデータによりますと、直近1週間におけるデータ処理量では、「DeepSeek(ディープシーク)」などのオープンソースモデルが上位を占めました。しかし、支出総額で見ると、Anthropicが依然として全体の半分以上を占めているということです。
また、別のプラットフォーム「OpenRouter」のデータでも同様の傾向がみられます。利用量ではオープンソースモデルが週に5兆3000億単位のデータを処理して首位に立っていますが、最先端モデルの「Opus 4.8」の処理量は2兆単位強にとどまっています。一方で、100万単位あたりの平均利用価格は、「Opus 4.8」が1.37ドル(約212円)であるのに対し、オープンソースモデルはわずか6セント(約9円)となっています。価格差が約23倍に上るため、市場における支出の大半は依然として最先端モデルに集中しているとみられています。
さらに、半導体大手「Nvidia(エヌビディア)」が新たなモデル「Nemotron(ネモトロン)」を展開するなど、市場の競争は激しさを増しています。
こうした状況について専門家は、人工知能が対応できる業務の市場が急速に拡大しているため、最先端モデルは初期段階の導入を担うだけでその地位を維持できると分析しています。最先端モデルが新規開発の領域を、オープンソースモデルが実用化の領域をそれぞれ担うという「2層構造」が、今後の市場において安定した基盤になる可能性があるということです。
