スマートリングを開発するアメリカの「Oura(オーラ)」は、新規株式公開(IPO)に向けて最大22億ドル(約3410億円)を調達する計画を明らかにしたと発表しました。今回のIPOは、主に既存の株主が利益を得るためのものになる見通しだということです。
同社が更新したIPOの申請書類によりますと、Ouraと既存株主は合わせて5000万株を、1株あたり40ドル(約6200円)から44ドル(約6800円)の価格帯で売り出すとしています。しかし、調達資金の大部分は既存株主に渡る見込みで、株主による売り出しは全体の3分の2近くにあたる3650万株に上るということです。
仮に価格帯の中央値である1株42ドル(約6500円)で上場した場合、手数料などを差し引く前の調達額は、株主側が約15億3000万ドル(約2372億円)、会社側が約5億6700万ドル(約879億円)になるとしています。
このうち大部分を受け取るのは、第2位の株主であるベンチャーキャピタルの「フォアラナー・ベンチャーズ」です。同社は保有する株式の9.3%にあたる約2870万株すべてを売却し、約12億ドル(約1860億円)を得る計画です。これは既存株主による売り出し分の約80%を占めるということです。調査会社ピッチブックによりますと、同社は2020年に行われた2800万ドル(約43億円)の資金調達ラウンドで初めてOuraに投資していました。
一方で、Oura自身は今回のIPOを大規模な資金調達の場とは位置づけていないとみられます。会社側は、中間価格での純手取額を5億3260万ドル(約826億円)と見込んでおり、その大半にあたる5億2640万ドル(約816億円)を、IPO時に確定する従業員への株式付与に伴う納税資金に充てる方針です。申請書類によりますと、一般の事業目的に残される資金は約620万ドル(約10億円)にとどまるということです。
これは、初期の投資家に資金回収の機会を提供しつつ、負債を増やしたり、6月末時点で約3億7200万ドル(約577億円)あった手元資金を取り崩したりすることなく、納税義務を果たすための戦略だとみられています。
Ouraは現在、急速な成長を遂げており、定額制のサブスクリプション事業が収益の大きな柱になりつつあります。この会員事業の粗利益率は89%と非常に高く、収益は2倍以上の2億4050万ドル(約373億円)に達し、全体の売り上げの約20%を占めました。なお、ハードウェアの収益は引き続き最大で、9億7400万ドル(約1510億円)だったということです。
同社は、9月末に終了する今年度の有料会員数が前年からほぼ倍増し、約570万人に達すると見込んでいます。
提示された価格帯の上限で上場した場合、Ouraの時価総額は141億ドル(約2兆1855億円)に達する可能性があります。
同社は、フィデリティなどが主導して9億ドル(約1395億円)を調達した過去のラウンドにおいて、企業価値が約110億ドル(約1兆7050億円)と評価されていました。その1年弱前には、企業価値52億ドル(約8060億円)で2億ドル(約310億円)を調達しています。ピッチブックによりますと、これまでに調達した資金の総額は約20億6000万ドル(約3193億円)に上るということです。
