カナダの法律ソフトウェア企業Clioは、26年の歴史を持つ法律データプラットフォームvLexを約1兆5500億円(約100億ドル)で買収することで合意したと発表しました。
この発表は、Clioが2021年に企業評価額を16億ドルから30億ドルに倍増させた9億ドル(約1兆3950億円)の資金調達から約1年後のことです。
vLexは、2022年にプライベートエクイティ企業オークリーキャピタルに買収されるまで主に自己資金で運営されていましたが、ClioのCEOで創業者のジャック・ニュートン氏によれば、非常に注目されている資産ということです。
AIを活用した法律技術スタートアップのHarveyは、昨年vLexの買収を試みましたが、The Informationの昨年7月の報道によれば、合意には至りませんでした。
vLexは、その法律文書のデータベースが弁護士向けのAIモデルを大幅に改善できるため、価値のある資産とされています。ニュートン氏はTechCrunchに対し、「データは、この分野で企業が持つことのできる唯一の長期的に守り続けられる競争優位性です」と述べました。
vLexは、トムソン・ロイターが所有する法律データベースやLexisNexisと競合しています。この買収は、HarveyがLexisNexisと提携し、HarveyのAIをLexisNexisのデータで強化することを発表した直後に行われました。
vLexの買収により、時間管理、請求書作成、電子決済ツールを提供するClioは、法律実務の分野にも進出することになります。
ここ数年、vLexは同社の法律コンテンツデータベースを基にしたAIモデル「Vincent」を開発してきました。ニュートン氏は「AIは、これまで別々のカテゴリーであった法律ビジネスと法律実務を融合させる原動力になるでしょう」と述べ、Clioの中小法律事務所の顧客はVincentのAI機能にアクセスできるようになるとしています。
ClioはvLexの買収計画を発表したことに加え、年間経常収益(ARR)が3億ドル(約465億円)に達したことも明らかにしました。
