サイバーセキュリティ分野の新興企業であるアメリカの「Glow」は、シリーズAラウンドで1億8000万ドル(約279億円)の資金調達を実施し、企業評価額が12億ドル(約1860億円)に達したと発表しました。同社は、AI(人工知能)の普及が企業の端末(エンドポイント)の安全管理を大きく変えるとして、新たなセキュリティ対策を提供する方針です。
カリフォルニア州パロアルトに本社を置く同社は、セコイア・キャピタルなどの有力な投資会社から資金を調達しました。これにより、同社は収益実績を公表する前に「ユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場企業)」の仲間入りを果たしたということです。
現在、多くの企業がAIツールを導入する一方で、サイバー攻撃者も生成AIを悪用して手口を巧妙化させています。こうした中、従業員のパソコンやサーバーなどの端末をどのように守るかが大きな課題となっています。Glowは、2025年に設立され、端末上で稼働するソフトウェアやAIツールを監視・制御する独自のプラットフォームを開発しています。
このプラットフォームは、専用のAIを活用して社内のネットワーク環境を継続的に把握し、リアルタイムでリスクを評価するとしています。共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるロイ・タイガー氏は、「過去10年間はクラウドへの移行が進みましたが、現在はAIがこれまでにない形で端末に導入されています」と指摘しています。
タイガー氏は、IT大手メタの元幹部であり、スノーフレイクやクラロティなどのテクノロジー企業で経験を積んだ専門家らとともに同社を立ち上げました。また、最高執行責任者(COO)には、ユナイテッド航空などでセキュリティ責任者を務め、グーグルによる320億ドル(約4兆9600億円)での買収が話題となった「Wiz」の取締役も歴任したエミリー・ヒース氏が就任しています。
同社は本格的な事業開始の段階ですが、すでに医療、小売、金融などの幅広い業界で顧客を獲得しているということです。数万台規模の端末を運用するグローバル企業にも導入されています。技術面では、アンソロピックやグーグルのAIモデルを活用しつつ、自社開発のソフトウェアを組み合わせて、セキュリティ業務の信頼性を高めているとしています。
エンドポイントセキュリティの市場には、クラウドストライクやマイクロソフトなどの大手企業が存在しています。これに対しタイガー氏は、既存の製品が脅威の「検知」に重点を置いているのに対し、自社のシステムは危険なソフトウェアやAIツールが社内環境に侵入するのを未然に「防ぐ」ように設計されていると強調しています。
同社は現在、約100人の従業員を抱え、その約70%がイスラエル、残りがアメリカを拠点としています。AIに特化した端末のセキュリティ対策が、今後新たな市場として確立されるかどうか、企業の対応が注目されています。
