オープンAIのサム・アルトマンCEOらが共同創業したオンライン認証のスタートアップ企業「ワールド(World)」は、戦略的投資家に対する暗号資産(仮想通貨)の販売を通じて、5250万ドル(約81億4000万円)の資金を調達したと発表しました。
発表によりますと、今回の資金調達は同社が発行する暗号資産「WLD」の販売によるものです。投資家には1年間の売却制限(ロックアップ)が設けられており、同社は「投資家がワールドの継続的な成長に対して長期的な関与を示すものだ」としています。
調達した資金は、ケイマン諸島に拠点を置く「ワールド財団」に提供され、同社のネットワーク拡大に向けた事業に充てられる方針です。今回の販売は、デジタル資産に特化したベンチャーキャピタルのパンテラ・キャピタルが主導し、ベイン・キャピタル・クリプトなどの企業も参加したということです。
ワールドのプロジェクトは、アメリカ・サンフランシスコに拠点を置く「ツールズ・フォー・ヒューマニティ(TFH)」が運営しています。アレックス・ブラニア最高経営責任者(CEO)とアルトマン氏が共同で創業しました。
同社は、オンライン上での「人間の証明」を可能にする認証技術を中核事業と位置づけています。AI(人工知能)や自動プログラム(ボット)によるコンテンツ生成が急増するなか、アカウントの背後にいるのが人間であることを証明する匿名のデジタルID「ワールドID」の普及を目指す方針です。
最上位の認証を取得するためには、「オーブ(Orb)」と呼ばれる球体の専用端末で利用者の虹彩をスキャンし、独自の暗号化された識別子に変換する必要があります。この端末は、同社のオフィスのほか、世界各地の提携店舗などに設置されているということです。
このプロジェクトは当初、より暗号資産の色合いが強い「ワールドコイン」という名称で始まりました。利用者は、暗号資産の保管機能も備えた同社のアプリを通じて、トークンの取引や保有ができます。しかし、暗号資産業界に対する社会的な逆風などを背景に、その後ブランド名を現在の「ワールド」に変更しています。
今年4月にはアプリの新バージョンを発表し、「ティンダー」や「ズーム」などの企業との提携を明らかにしました。一方で、事業の規模拡大や消費者への理念の浸透には課題も残されており、運営会社のTFHは今年6月に人員削減を実施したということです。
