韓国のサムスン電子の労働組合は、待遇改善を求めて来月18日間のストライキを実施する構えであると発表しました。これにより、世界的なメモリー半導体の供給不足がさらに悪化する懸念が高まっているということです。
労働組合は木曜日、韓国のピョンテク(平沢)にある事業所で数万人規模の集会を開きました。対立の主な原因は、報酬をめぐる問題です。組合側は、業績連動型ボーナスの上限撤廃と、営業利益の15%を直接従業員に還元することを求めています。
しかし、会社側はこれに同意しておらず、労使交渉は難航しているということです。また、会社側は法廷や交渉の場で組合と対立する姿勢を示しています。
競合他社であるSKハイニックスは、来年初めに3万5000人の従業員に対し、1人当たり平均およそ40万ドル(約6200万円)のボーナスを支給する見通しだということです。地元メディアの報道によりますと、サムスン電子はメモリー半導体部門の従業員に対し、競合他社を上回る報酬を提示したものの、組合側はこれまでのところ拒否しているとしています。
サムスン電子の広報担当者は、現時点でコメントを出していません。同社は長年、韓国で最も就職を希望される企業でしたが、SKハイニックスとのボーナス格差がその優位性を揺るがす要因として指摘されています。
一方で、組合の動きに反対する声も上がっています。集会現場の道路の反対側では株主らが集まり、「重要な時期に会社を弱体化させている」として労働組合側を非難しました。
会社側にとって、今回の労働争議は厳しいタイミングでの発生となりました。現在、AI(人工知能)の急速な普及により、世界的に半導体不足が深刻化しています。サムスン電子、SKハイニックス、アメリカのマイクロン・テクノロジーのメモリー半導体大手3社は、AIデータセンターからの需要に応えるため生産を急いでいます。各社は、一般消費者向けの事業から、利益率が極めて高いAI向けの広帯域メモリー(HBM)の生産に経営資源を集中させる方針です。
世界で生産される高性能メモリー半導体の約70%がAIデータセンターで消費されていると推定されており、一般消費者向けの供給が逼迫しています。その結果、DRAMなどの従来のメモリー半導体の価格は、2025年初めから急騰しているということです。
サムスン電子の3万5000人以上の従業員が来月ストライキに踏み切った場合、その影響はアメリカのシリコンバレーにも波及し、現在進行中のメモリー半導体不足にさらに拍車をかける可能性があると懸念されています。
