アメリカのオンライン決済大手「ストライプ(Stripe)」は、複数のAIモデルを統合して提供するスタートアップ企業「オープンルーター(OpenRouter)」を買収したと発表しました。買収額は公表されていませんが、アメリカのメディアは75億ドル(約1兆1625億円)に上ると報じており、AI関連の経費管理など新たな事業領域を拡大する狙いがあるとみられています。
ニューヨーク・タイムズによりますと、今回の買収額は75億ドル(約1兆1625億円)に達するということです。オープンルーターの今年5月時点の企業価値は13億ドル(約2015億円)と評価されており、わずか数か月で大幅に上昇しました。
報道によりますと、売却益のうち15億ドル(約2325億円)が創業者に、残りの60億ドル(約9300億円)が投資家に分配される見通しです。ストライプは、データブリックス(Databricks)など他の企業との買収競争を制したとされています。
決済サービスを主力とするストライプが、AIモデルの仲介を行う企業を買収した背景には、AIがもたらす経済効果への強い期待があります。ストライプの創業者であるパトリック・コリソン氏とジョン・コリソン氏は投資家向けの書簡の中で、AI技術が飛躍的に進化する「技術的特異点(シンギュラリティ)」の始まりを意識して事業を展開していると説明しています。
ストライプによりますと、有力なAI関連企業の多くが同社の決済サービスを利用しているということです。また、両社はともに開発者を主要な顧客としており、顧客基盤が重複していることも買収の理由として挙げられています。なお、オープンルーターは買収後も独立して事業を継続する方針です。
これまでストライプは、主に資金の受け取りや管理を支援する企業の買収を進めてきました。専門家は今回の買収について、企業がAIを利用する際の経費管理など、支出側のサービスを強化する動きだと分析しています。
調査会社ピッチブック(PitchBook)のアナリストは、「ストライプがAI時代の資金の流れの中心に自らを位置づけようとする戦略的な試みだ」と指摘しています。開発者によるAIの利用状況を把握することで、AI開発企業やクラウド事業者に対する影響力を強める方針だとみられています。
