アメリカの宇宙開発企業「スペースX」は、南部テネシー州メンフィス近郊にある関連会社「xAI」のデータセンターで無許可で稼働させている発電用ガスタービンについて、出力1.2ギガワットの恒久的な天然ガス発電所への移行に伴い撤去すると発表しました。
スペースXによりますと、タービンの完全な撤去は2027年7月になるということです。同社は現在、データセンター「コロッサス」の電力を賄うため69基のガスタービンを稼働させており、その多くは数か月にわたって使用されています。この無許可タービンの使用を巡っては、全米黒人地位向上協会(NAACP)や南部環境法センターがxAIを相手取り訴えを起こしています。
スペースXは今年2月にxAIを買収しています。また、新規株式公開(IPO)に向けた申請書類の中で、今後3年間でデータセンター向けに28億ドル(約4340億円)相当のガスタービンを購入する計画を明らかにしています。
会社側は、既存のタービンについて「輸送用のトレーラーに積載された状態であるため、許可なく稼働できる」と主張しています。しかし、連邦政府の規制では、設置状態にかかわらず、その規模や用途から許可が必要だと定められています。
タービンが設置されているのは、テネシー州との境界に位置する南部ミシシッピ州です。この地域はアメリカ国内でも特に大気汚染が深刻な地域の一つとされており、xAIが稼働させているガスタービンは、スモッグの原因となる窒素酸化物(NOx)を年間2000トン以上排出する可能性があると指摘されています。
一方、アメリカ司法省は先月、NAACPによる訴訟においてスペースX側を支持する見解を示し、無許可タービンの稼働は「国家、経済、およびエネルギーの安全保障に関わる問題である」と述べています。
ミシシッピ州が発行した許可書類によりますと、スペースXが新たに建設する発電所は、出力16.48メガワットから50メガワットのガスタービン41基で構成されるということです。これらは現在使用されているものとは異なる機種とみられていますが、既存の69基の具体的なモデルについては確認されていません。
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は今年、仮設の天然ガス発電を専門とする企業「APRエナジー」を買収しました。同社のウェブサイトの記録によりますと、同社のタービンも、新たに建設される恒久的な発電所の許可書類に記載されているものとは異なるとみられています。
このため、APRエナジーのタービンが新しい発電所に導入される可能性は低く、未発表の別のプロジェクトに転用される公算が大きいとみられています。
