生産性向上プラットフォームを提供するアメリカのIT企業「スーパーヒューマン(Superhuman)」は、AIを活用した議事録作成ツールを手がける新興企業「ファゾム(Fathom)」を買収したと発表しました。
AIを活用した生産性向上ツールは、業務の自動化を主な目的としています。通常、ユーザーが指示を入力することで自動化が開始されますが、AIが自律的に業務を始めるためには、会議で議論されたテーマや決定事項が重要な手がかりとなります。このため、スーパーヒューマンなどの企業は、議事録作成機能の強化を進める方針です。
調査会社によると、ファゾムは2020年の創業以来、3000万ドル(約46億5000万円)以上の資金を調達しており、2024年時点の企業価値は9400万ドル(約145億7000万円)と評価されています。投資家には、ビデオ会議システム大手のズーム(Zoom)の関連ファンドや、著名なIT企業の経営者などが名を連ねているということです。
同社は無料プランを広く提供しており、月間アクティブユーザー数は40万人に上ります。これまでに100万人以上が会議の録音に利用したとしています。
スーパーヒューマンは今年、一部のユーザーを対象に独自の議事録作成ツールをテストしていましたが、最終的に既存の完成された製品を買収し、自社のシステムに統合する決定を下しました。同社のシシール・メロトラCEOは、「自社での開発テストを通じて、議事録作成ツールの開発がいかに困難であるかを認識した」と述べています。
メロトラCEOはさらに、「この分野の需要の高さを確信すると同時に、製品の奥深さと開発に必要な労力が明らかになりました。一見簡単に機能しているように見えても、会議録音のすべてのプロセスで高い品質を保つことは非常に難しい」と説明しています。
また、ファゾムの技術的な精巧さを高く評価しており、今回の買収により、会議の文脈をリアルタイムで把握する機能の開発を進める方針を示しました。
議事録作成ツールの市場は競争が激化しており、多くの新興企業が多額の資金調達を行っています。ファゾムのリチャード・ホワイトCEOは、単独での事業展開には限界があるとした上で、「スーパーヒューマンが持つ4000万人のユーザー基盤は、製品を大規模に普及させるための絶好の機会だ」と述べ、買収に合意した理由を説明しました。
スーパーヒューマンはすでに、メール、文書作成、カレンダー、データベース、そして新たに提供を始めたAIエージェント構築プラットフォームを備えています。同社は今後、議事録作成ツールをこれらの中核に据えることで、会議のデータからAIが自動的にメールの草案作成やデータ更新、次回の会議設定などを行う仕組みを構築していくとしています。
