動画投稿アプリ大手のTikTokが、SNSの枠を超えて、金融や電子商取引、旅行予約など多様な機能を統合した「スーパーアプリ」への進化に向けた取り組みを加速させていることがわかりました。同社は近年、ショッピング機能に加えて、ホテル予約機能やローカル検索機能などを相次いで追加したと発表しました。
TikTokは、ユーザーが動画を視聴・共有するだけでなく、日常生活の幅広いニーズを1つのプラットフォームで完結できる「スーパーアプリ」を目指しているということです。このモデルは、中国で普及している「WeChat」などに代表されるものです。TikTokは、ユーザーが他のアプリに切り替えることなく、デジタル活動の大半を自社のアプリ内で行える環境の構築を進める方針です。
スポーツ分野では、ユーザーがハイライト映像や関連コンテンツを楽しめる機能の拡充を図っています。6月上旬には、FIFAワールドカップの特設ページを開設し、試合のスコアや日程、ハイライト映像などを提供しました。これにより、ユーザーはアプリを離れることなくスポーツの最新情報を確認できるということです。
また、旅行分野では5月、米国で「TikTok GO」という新機能の提供を開始しました。これは、動画や検索を通じてホテルや観光スポットを見つけ、アプリ内で直接予約を完了できる機能です。TikTokは、旅行関連の動画を実際の予約や収益に結びつけるプラットフォームとしての地位を確立する狙いがあるとしています。
金融分野への進出も明らかになっています。報道によりますと、TikTokは3月、ブラジルの中央銀行に対し、決済や融資サービスを提供するフィンテック企業としての事業認可を申請しました。
申請しているのは2種類の認可で、1つはユーザーが資金を保管・送金できるプリペイド口座の提供、もう1つは直接融資を行うための認可だということです。金融サービスをアプリに統合することで、ユーザーの利用時間を延ばし、新たな収益源を確保する方針です。
TikTokの多角化において最も大きな成功を収めているのが、電子商取引機能の「TikTok Shop」です。米国では2023年に本格導入され、現在では大手オンライン市場と競合する規模に成長しています。
調査会社によりますと、米国の「TikTok Shop」の売上高は急増しており、2025年には158億2000万ドル(約2兆4521億円)に達する見込みだということです。また、最近では低価格商品だけでなく、高級ブランドの販売にも参入しています。
音楽分野では、独自のストリーミングサービスを終了した一方で、他の大手音楽配信サービスとの連携を強化し、アプリ内で楽曲を再生できる機能を追加したと発表しました。
さらに、検索機能の強化も進めています。地図や店舗のレビュー、営業時間などの詳細情報をアプリ内で提供することで、ユーザーが他の検索エンジンを利用する必要性を減らしているということです。これは、検索サービスを展開する大手IT企業の事業と直接競合する動きとして注目されています。
エンターテインメント分野では、1話1分程度の短編ドラマを配信する機能や、アプリ内で遊べるカジュアルゲームを追加しました。TikTokは、単なる動画共有サービスから、多様な機能を提供する総合的なデジタルプラットフォームへの転換を強力に推し進める方針です。
