シンガポールの半導体スタートアップ企業であるNexstrom(ネクストロム)は、次世代の半導体材料として注目される「2次元(2D)材料」の量産化に向け、1200万ドル(約18億6000万円)の資金調達を実施したと発表しました。
半導体業界では長年、シリコン製トランジスタの微細化によって処理速度の向上を図ってきました。しかし、微細化に伴う電子制御の難化や、電力損失、発熱などの課題が深刻化しています。
こうした中、Nexstromはシリコンに代わる素材として、原子数個分の厚さしかない「遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)」と呼ばれる極薄の半導体材料に着目しています。同社は、この2D材料を商業用の300ミリ(12インチ)ウェハー上に直接形成する製造装置とプロセスの開発を進めています。
2D材料をめぐっては、台湾のTSMCやアメリカのインテルなどの大手企業も研究を進めています。しかし、実験室レベルの高品質な材料を大規模に量産することが大きな障壁となっていました。Nexstromは、TSMCで研究を主導した経験を持つランス・リー氏の技術を基に、この量産化の課題解決を目指すとしています。
同社は今回、投資ファンドなどから1200万ドル(約18億6000万円)の資金を調達しました。これにより、これまでの累計調達額は1500万ドル(約23億2500万円)に上るということです。
今後の事業戦略について、Nexstromは大手半導体メーカーと競合するのではなく、技術の提供やパートナーシップの構築を進める方針です。すでに一部の企業でサンプルのテストが始まっているということです。
調達した資金は、技術開発の推進や製造装置の商業化、人員の拡大などに充てられます。同社は、2030年から2035年までの間に商業生産の体制を整える計画だとしています。
