バイオテクノロジー企業ネフロジェンは、AIと遺伝子治療を組み合わせて腎臓病を逆転させる技術を開発したと発表しました。この企業は、テッククランチ・ディスラプト2025のスタートアップバトルフィールドの20社のファイナリストに選ばれています。
ネフロジェンの創業者であるデメトリ・マキシム氏は、7歳の時に母親が腎不全を患い、週に4回の透析が必要となった経験から、腎臓病の治療法を探求することに熱心になりました。彼自身も多嚢胞性腎疾患(PKD)を受け継いでおり、治療法の開発に取り組んでいます。
2021年、マキシム氏はCRISPR技術を用いてマウスのPKDを逆転させることが可能であるという研究結果を知り、これを契機にネフロジェンを2022年に設立しました。この企業はAIと先進的なスクリーニング技術を活用し、遺伝子編集薬を腎臓の特定の細胞に安全に届けるための専門的な送達システムを開発しています。
ネフロジェンは3年間の開発を経て、既存のFDA承認の「ビークル」よりも100倍効率的に薬を腎臓に運ぶ送達メカニズムを作り出したとしています。次の大きなステップは、この新しい送達メカニズムと開発した薬を臨床試験に進めることであり、マキシム氏は2027年に開始することを目指しています。
この計画を支えるため、同社は約4百万ドル(約6億2000万円)のシードラウンドを調達中です。マキシム氏自身も臨床試験に参加する意向を示しており、PKDの進行を遅らせる薬の効果が限定的であることから、ネフロジェンのアプローチの成功が彼自身の完治にもつながるとしています。
テッククランチ・ディスラプト2025では、ネフロジェンのプレゼンテーションや他のスタートアップのピッチを直接聞くことができるとしています。イベントは10月27日から29日までサンフランシスコで開催されます。
