アメリカのIT大手マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏が設立した気候変動対策の投資ファンド「ブレイクスルー・エナジー」は、次世代のエネルギー技術を開発する21のスタートアップ企業を新たな支援対象として選出したと発表しました。AI(人工知能)の普及による電力需要の急増が懸念される中、脱炭素化や気候変動への適応に向けた技術開発を加速させる方針です。
ブレイクスルー・エナジーは、初期段階のスタートアップ企業を支援するプログラム「フェローズ」の第6期生を明らかにしました。今回の支援対象には、農業や核融合、ロボット工学、データセンターの電力効率化など、幅広い分野の企業が含まれています。
同ファンドの幹部であるエリック・トゥーン氏は、現在のAIデータセンターによる電力需要の増加について「炭鉱のカナリアに過ぎない」と指摘しています。世界各国が温室効果ガスの排出を抑えるため、経済全体の電化を進めることで、将来的な電力需要は現在の3倍に達すると予測されているということです。
選出された企業の中には、革新的な技術で大きな成果を目指すスタートアップが含まれています。「ボレアリス・フュージョン(Borealis Fusion)」は、広く存在するプロトン・ボロン燃料を用いた核融合発電の開発を進めており、実現すればエネルギーコストの大幅な削減が期待できるとしています。また、「スターウォーデン(StarWarden)」は、将来の原子炉に向けた熱管理技術の開発に取り組んでいます。
さらに、半導体やデータセンターの効率化に取り組む企業も選ばれました。「K1セミコンダクター(K1 Semiconductor)」は、窒化ガリウムや炭化ケイ素などの重要な半導体材料を効率的に処理する新たな手法を開発しており、パワー半導体のコストを半減させる可能性があるということです。
このほか、作物の病気を検知する分子センシング技術や、環境への影響を抑えながら海底から重要鉱物を採取するロボット技術を開発する企業も支援対象となっています。
次世代のクリーンエネルギーとして期待される水素の輸送や利用に向け、アンモニアを活用する技術を開発する企業も選出されました。トゥーン氏は「水素はエネルギーの万能ツールですが、輸送インフラが整備されていないため、アンモニアがその解決策になる」と説明しています。
一方で、今回の支援対象には、脱炭素化だけでなく、温暖化が進む気候への「適応」を支援する企業も含まれています。これについてトゥーン氏は、「脱炭素化には想定以上の時間と困難が伴うため、気候変動への適応に向けた取り組みが不可欠になっている」としています。
