ファイアフライ・エアロスペースは、株式公開を通じて宇宙事業の拡大を目指す方針を発表しました。 同社は今年、商業月面着陸を含む一連の成功を収めた後、金曜日にIPOの計画を詳細に記した正式な申請書を規制当局に提出したということです。
アメリカ証券取引委員会に提出されたS-1文書には、同社の財務状況やガバナンス計画が広範囲にわたって記載されていますが、提供される株式数や価格帯は明らかにされておらず、最終的な評価額はまだ決定されていません。
ファイアフライはIPOに向けて、現金および現金同等物として約176.9百万ドル(約2,700億円)を保有しています。運営からのマイナスのキャッシュフローと損失を抱えていますが、少なくとも12ヶ月間の流動性ニーズを満たすのに十分な現金を持っているとしています。約173.6百万ドル(約2,700億円)の負債があり、その中には13.87%の金利がついた136.1百万ドル(約2,100億円)のタームローンが含まれています。S-1によれば、IPOからの純収益の一部は、この未払いローンの返済に充てられる予定です。
同社は、3月31日時点で55.8百万ドル(約860億円)の収益を上げたと報じられており、前年同期の8.3百万ドル(約130億円)から増加しています。その大部分は「宇宙船ソリューション」、つまりブルーゴーストランダーのミッションからのもので、打ち上げからの収益はわずか5百万ドル(約80億円)です。しかし、ハードウェアは高価な事業であり、売上原価や発生費用は収益とほぼ同じ約53百万ドル(約820億円)で、粗利益はわずか2.2百万ドル(約30億円)にとどまっています。
2024年度の純損失は231.1百万ドル(約3,580億円)で、前年の135.5百万ドル(約2,100億円)から増加しました。第1四半期末の純損失は60.1百万ドル(約930億円)です。しかし、同社は将来の成長を見込んでおり、ノースロップ・グラマンとの新しい再利用型打ち上げ機「エクリプス」の開発や、ロッキード・マーティンとの最大25回の打ち上げ契約、宇宙輸送サービス用の宇宙船「エリュトラ」の商業デビューなど、いくつかの大規模なプロジェクトが進行中であるとしています。
さらに、3月31日時点で約11億ドル(約1兆8,150億円)の打ち上げ注文と宇宙船契約が残っており、前年の5.6億ドル(約9,240億円)から倍増しています。この大幅な増加は、小型ロケット「アルファ」の3つのマルチローンチ契約と、ブルーゴーストランダーの追加の月面配達契約によるものです。
規制文書には、ファイアフライが「コントロールド・カンパニー」としてナスダックのルールを活用し、2022年にファイアフライの過半数の株式を取得したプライベート・エクイティ・ファーム「AEインダストリアル・パートナーズ」が上場後も企業のガバナンスを大きくコントロールする方針であると記載されています。
同社はナスダック・グローバル・マーケットに「FLY」というティッカーシンボルで上場する予定です。このニュースは、スペース企業のIPOが相次いで静かになった後に出てきました。2021年と2022年には、特別買収目的会社との合併を通じて上場したスペース企業が多くありましたが、その多くは成功を収めていませんでした。
ファイアフライのIPOは、市場に必要な流動性を提供する可能性があるということです。今回のIPOは、民間宇宙ステーション「スターラボ」を建設するスペース企業「ボイジャー・スペース」が先月IPO申請を行った直後のものです。