アメリカのスタートアップ企業「ファムボット(Fambot)」は、子育て世帯の日常的なスケジュール管理などを支援する、家族向けの「AI首席補佐官」サービスを開発したと発表しました。学校行事や習い事など、複雑化する家族の予定を人工知能(AI)が整理し、保護者の負担軽減を目指すとしています。
シリコンバレーでは現在、利用者に代わってタスクを処理するAIエージェントが注目を集めています。ファムボットは、この技術を実生活の場、特に子育て世帯のスケジュール管理や情報整理に応用する方針です。
同社は、画像共有アプリ「インスタグラム」の元エンジニアであるグレッグ・カーリン氏と、配車サービス大手「ウーバー」でプロダクト責任者を務めたデイビッド・ライヒ氏らによって設立されました。
ライヒ氏自身も3人の子どもを持つ父親であり、仕事と家庭の両立に課題を感じていたということです。「帰宅後は子どもたちと過ごしたいにもかかわらず、実際には大量のメール確認などに1時間も費やしていました」と開発の背景を説明しています。
保護者が確認すべき情報はメールにとどまらず、対話アプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」のグループチャット、学校やスポーツクラブの専用アプリ、配布されるプリントなど多岐にわたります。ファムボットは、こうした情報過多による保護者の負担を解決するため、約1年半前から開発が進められてきました。
利用者は、自身のメールやカレンダー、対話アプリのアカウントをファムボットと連携させます。その後、AIが日々のタスクリスト(ToDo)や今後の予定を整理し、利用者に提示する仕組みだということです。なお、システムには複数のAIモデルが組み合わされていますが、利用者のデータがAIの学習に使われることはないとしています。
他のAIエージェントとの大きな違いは、テキストメッセージだけでなく、ウェブサイトや専用のスマートフォンアプリを通じても利用できる点です。同社は、ソフトウェアとして提供することで、より高度な機能を実装できるとしています。
今後は、学校やスポーツクラブなどで使われる他の連絡用アプリとの連携も進める方針です。将来的には、家族や子どもに関するすべての連絡を一元管理するプラットフォームを目指すとしています。
アメリカには16歳未満の子どもがいる家庭が4300万世帯あるとされ、ライヒ氏は「保護者が必要とする支援が十分に提供されてきませんでした。AIを活用することで、予定を事前に把握し、準備できるようになります」と述べています。
本格的な提供開始を前に、1000以上の家族を対象に試験運用が行われました。その結果、共働き世帯だけでなく、ひとり親世帯や専業主婦・主夫の世帯など、あらゆる家族形態において有用性が確認されたということです。
同社はこれまでに、ベンチャーキャピタルなどから創業初期の資金として350万ドル(約5億4000万円)を調達したということです。
現在は試験運用(ベータ版)として、スマートフォン向けの基本ソフトであるiOSやアンドロイド、およびウェブ上で無料で提供されています。将来的には、動画配信サービスの月額料金と同程度の価格で有料化する方針だということです。
