フィンランドのスタートアップ企業NestAIは、フィンランド政府系ファンドのTesiと大手ハードウェア企業ノキアが主導する資金調達ラウンドで、約165億円(約100億円)を調達したと発表しました。この資金は、自律運転車両や指揮統制プラットフォームなどで使用されるAI製品の開発に充てられるということです。
また、NestAIはノキアと提携し、防衛用AI製品の開発やロボティクスなどの実世界での応用を目指す「フィジカルAI」の開発を進める方針です。
NestAIの共同創設者であるピーター・サルリン氏は、ヘルシンキで開催されたSlush 2025技術会議で、この資金が「ヨーロッパのリーディングフィジカルAIラボ」の構築に貢献するとの見解を示しました。
フィジカルAIは、大手技術企業やスタートアップの間で成長している研究分野であり、NestAIの資金調達は、ヨーロッパ企業が地域のニーズに応えるための独自ソリューションを開発する余地があることを示しています。特に、ウクライナとロシアの長引く戦争の影響で、防衛用途への関心が高まっています。先月、NestAIはフィンランド国防軍がAIを導入する支援を行うと発表しました。
この主権への焦点が、これまでNestAIがステルスモードで活動していた理由である可能性があり、現在はサルリン氏の支援のもとで公に活動を進めています。サルリン氏は、過去数カ月間、家族経営の投資会社PostScriptumを通じてこのベンチャーを支援してきたとしています。
「PostScriptumの使命に沿って、NestAIはヨーロッパの技術的主権を推進するために、ヨーロッパのリーディングフィジカルAIラボになることを目指しています」とサルリン氏はTechCrunchに語りました。「この提携は、ヨーロッパの防衛能力と主権を確保するための重要なステップでもあります」としています。
サルリン氏は昨年、AIスタートアップのSilo AIをAMDに約1029億円(約665億円)で売却した後、フィランソロピストや投資家として活躍し、LegoraやLovableなどのスタートアップを支援してきました。NestAIの構築を進める一方で、日常業務はAMDで行っており、スタートアップの会長としてのみ活動するとしています。
NestAIには現在CEOがいませんが、その成長するチームはAI研究やハードウェアプロジェクトに経験を持つ人材を集めており、防衛分野と重なるプロジェクトを進めています。多くのスタッフは以前インテルで勤務しており、他にはコングスバーグ、パランティア、サーブなどで働いていた人材も含まれているということです。
