フランス政府は、アメリカのIT企業への依存を減らすため、政府機関のコンピューターで使用している基本ソフト(OS)を、マイクロソフトの「ウィンドウズ」から、無償で公開されている「リナックス」に移行する計画を発表しました。
リナックスは、誰でも無償で利用できるオープンソースのOSであり、用途や業務に合わせてさまざまな仕様に変更できる特徴があります。
フランスのダビド・アミエル担当相は声明で、今回の取り組みについて「アメリカのIT企業への依存を減らし、デジタル分野における私たちの運命の決定権を取り戻すためだ」と説明しています。また、フランス政府として、自国のデータやデジタルインフラの管理権を握れていない現状は、もはや容認できないとしています。
移行の具体的な時期や、どの種類のリナックスを採用するかについては明らかにされていません。この件について、マイクロソフトは現時点でコメントを出していません。
フランス政府は近年、自国内で開発された技術やクラウドサービスを活用する「デジタル主権」の確立を目指しています。今回の決定も、2025年1月に発足したアメリカのトランプ政権の予測不可能性に対する懸念を背景に、巨大IT企業への依存を減らす一連の取り組みの最新の動きとなります。
ヨーロッパ全体でも、アメリカの技術に過度に依存している現状への危機感が高まっています。今年1月には、ヨーロッパ議会が、外国のサービス提供者への依存を減らすべき分野を特定するようヨーロッパ委員会に求める報告書を採択しました。
アメリカのトランプ大統領は就任以来、他国の指導者の拘束や殺害の支援に関与するなど、強硬な姿勢を示しています。さらに、国際刑事裁判所(ICC)の裁判官など自身に批判的な人物に対して制裁を科し、アメリカ企業との取引を事実上遮断する措置をとっています。制裁の対象となった人々は、銀行口座が閉鎖されたり、アメリカのITサービスへのアクセスが絶たれたりする影響を受けているということです。
フランス政府は数か月前にも、ビデオ会議システムについて、マイクロソフトの「チームズ」の使用を取りやめ、オープンソースの技術を基にしたフランス製のツール「ビジオ」に切り替える方針を示していました。
さらにフランス政府は、今年末までに医療データの管理システムについても、より信頼性の高い新たな基盤に移行する計画だということです。
