アメリカのIT大手マイクロソフトは、サイバーセキュリティーに特化した同社初となるAI(人工知能)モデルと、新たなセキュリティー対策プラットフォームを開発したと発表しました。
この発表は、アメリカのサンフランシスコで開かれたイベントで行われました。オープンAIやグーグル、アンソロピックといった競合他社がひしめく分野で、攻勢を強めるねらいがあるということです。
今回発表されたAIモデル「MAI-Cyber-1-Flash」は、複雑なプログラムのソースコードから、発見が難しい脆弱性を見つけ出すために構築されています。このモデルは、ソフトウェアの脆弱性の特定と修正に特化した同社のシステム「MDASH」を稼働させるためのものだとしています。
また、同時に発表された新たなセキュリティー基盤「Perception(パーセプション)」は、自律的に動作するAIエージェントのチームを配置し、バグの特定や修正など、さまざまなセキュリティー業務を支援・自動化するよう設計されています。この基盤は「MDASH」と連携させることも可能だということです。
マイクロソフトによりますと、新たなAIモデルは、サイバーセキュリティー分野の標準的な性能評価において、競合他社のモデルよりも大幅に強力で、費用対効果も高いとしています。
同社のAI部門のトップを務めるムスタファ・スレイマンCEOは、「『MDASH』のシステム内で今回のモデルと『GPT 5.4』を組み合わせることで、業界の主要な性能評価指標である『Cyber Gym』において、他社の最新モデルを上回る結果を出しました。直ちに実用化に向けて提供を開始します」と述べています。
近年、サイバー攻撃にAIを悪用するハッカーが増加しています。マイクロソフトのセキュリティー部門の責任者であるハイエテ・ガロ氏は、新たな基盤について「攻撃者と同じ規模とスピードで、AIを用いてAIによる攻撃から防御するための手段です」と説明しています。
「Perception」では、AIエージェントが「レッド」「ブルー」「グリーン」の3つのチームに分かれて機能します。レッドチームは潜在的な攻撃の詳細なシミュレーションを行い、ブルーチームは既存のバグの検出と優先順位付けを担当します。そして、グリーンチームがそれらのバグに対する修正措置を実行する仕組みだということです。
開発責任者のデイブ・ウェストン氏は、新基盤が企業の防衛担当者にとって大幅な業務効率化をもたらすと強調しています。「これまで複数の専門家が何時間もかけて手作業で行っていた業務が、わずか数分で完了するようになります。問題の発見や優先順位付けだけでなく、検知や設定の修正、さらにはプログラムのコード修正まで一貫して行えるのです」としています。
AI技術は企業に新たな防衛手段を提供する一方で、サイバー犯罪者にも利用されることで脅威の多様化を招いています。
マイクロソフトの新しいセキュリティー機能は、11月3日からプレビュー版として提供される予定です。サイバーセキュリティー分野では、今年に入りアンソロピックやオープンAIも独自の対策ソリューションを発表しており、AIを活用したセキュリティー市場の競争は一段と激しさを増す見通しです。
