アメリカの防衛テクノロジー企業「マッハ・インダストリーズ」は、無人機など6つの兵器開発プログラムを同時進行させ、製造のサプライチェーン構築を強化していると発表しました。同社は最新の資金調達により、企業評価額が18億ドル(約2,790億円)に達したということです。
同社の創業者であるイーサン・ソーントン氏は、マサチューセッツ工科大学(MIT)を中退し、防衛技術の開発に着手しました。ロサンゼルスで開催されたテクノロジー関連のイベントで同氏が明らかにしたところによりますと、マッハ・インダストリーズは現在、6つの兵器プログラムを進行させています。今月上旬には、シリーズCの資金調達ラウンドで3億ドル(約465億円)を調達しました。これにより、累計の資金調達額は約4億8,500万ドル(約752億円)に達したということです。
ソーントン氏は、中国の台頭と大国間競争への懸念から、無人システムが将来の安全保障を再定義すると判断しました。同社は現在、垂直離着陸型の攻撃機、長距離対艦ミサイル、成層圏システム2種、安価な地対空迎撃システム、そして新たに発表された海軍向けの物流・攻撃機を開発しています。この海軍向け航空機は全長約12メートル、重量約1,800キログラムで、約450キログラムの物資を搭載し、約1,600キロメートルを飛行できるとしています。
同社は現在、アメリカ政府から約13の契約を獲得しており、年内には複数のシステムを実戦配備する目標を掲げています。さらに、6つのプログラムのうち3つを量産体制に移行させる方針です。安全保障を確保するためには、単一の製品に集中するのではなく、多様な製品を展開する必要があるとしています。
ソーントン氏は、アメリカが製造規模で中国を上回ることは困難であると指摘しています。そのうえで、アメリカの強みである「創造性」と「製品化」を活かし、先行者利益を獲得する戦略をとるとしています。
また、防衛産業における最大の課題はサプライチェーンにあると位置づけています。同社は約8か月でジェットエンジンをゼロから開発したほか、今年5月には固体ロケットモーター製造企業を5,000万ドル(約78億円)で買収しました。現在、部品の販売が同社の収益の約半分を占めているということです。
他の防衛スタートアップ企業が単一の製品に集中する傾向があるのに対し、マッハ・インダストリーズは多角的なアプローチを採用しています。例えば、競合の「シールドAI」は今年、20億ドル(約3,100億円)を調達し、企業評価額が127億ドル(約1兆9,685億円)となりました。また「サロニック」は17億5,000万ドル(約2,713億円)を調達し、評価額は92億5,000万ドル(約1兆4,338億円)に達しています。
業界最大手の「アンドゥリル」は今年5月に50億ドル(約7,750億円)を調達し、評価額は610億ドル(約9兆4,550億円)に上ります。さらに同社は3月、アメリカ陸軍と上限200億ドル(約3兆1,000億円)の10年契約を締結しました。ソーントン氏は、アンドゥリルがソフトウェアから構築を始めるトップダウン方式であるのに対し、自社はハードウェアから始めるボトムアップ方式であると説明し、差別化を図る方針です。
さらに、ソーントン氏は国防総省が特定の企業による独占を避けるため、複数の供給業者を維持する構造になっていると指摘し、市場には十分な参入余地があるとの見方を示しました。
社内体制については、従業員から経営陣に対して直接厳しい質問を投げかけるフォーラムを定期的に開催し、組織の透明性と健全性を保つ取り組みを進めているということです。
