アメリカのIT大手メタが、自社のAI=人工知能向けに構築したデータセンターの余剰な計算能力などを外部に販売する、新たなクラウド事業の計画を進めていると報じられました。巨額の投資を早期に収益化するねらいがあるということです。
アメリカの経済メディア、ブルームバーグの報道によりますと、メタはAIの計算能力やモデルへのアクセスを提供するクラウドインフラ事業の計画を策定しています。この事業が実現すれば、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やグーグル・クラウド、マイクロソフトのアジュールといった既存の大手クラウド事業者と競合することになります。
こうした動きは、宇宙開発企業スペースXが関連会社を通じて同様の計画を発表した直後に明らかになりました。スペースXは今年5月、自社のデータセンターの計算能力をAI開発企業に提供する契約を結んでいます。メタも同様の取り組みを進めることで、今後のAI競争において、優れたモデルを提供する企業だけでなく、データセンターを保有する企業が優位に立つ可能性が示唆されています。
一方で、AIインフラへの投資競争がバブルを引き起こしていると警戒する声も上がっています。急速に価値が低下する半導体に大きく依存していることや、AI企業が1兆ドル(約155兆円)規模の投資を正当化できるだけの収益を上げられるかについて、疑問視する専門家もいます。
しかし、メタはAIインフラへの巨額の投資を継続する方針です。今年第1四半期の時点で、同社は今後数年間で1829億ドル(約28兆3500億円)をAIインフラに投じる計画を明らかにしています。これには、アメリカのルイジアナ州やオハイオ州で進行中の大規模なデータセンター建設も含まれており、オハイオ州の施設は今年中に稼働する予定だということです。
現在、メタが展開するAIモデルは、グーグルやオープンAIほどの大きな外部需要を獲得するには至っていません。同社はAI関連の収益を公表しておらず、これまでのところ社内での活用を強調してきました。このため、AI事業単体ではまだ十分な収益基盤を確立できていないとみられています。
こうした中、メタは巨額の投資を回収するため、計算能力そのものを販売するビジネスモデルを検討しているということです。また、新たに発表したAIモデル「Muse Spark」など、自社のインフラ上で様々なモデルへのアクセスを販売することも視野に入れているとしています。
この新たな事業は「メタ・コンピュート(Meta Compute)」と呼ばれ、インフラ部門やAI研究部門の責任者らが主導すると報じられています。メタのマーク・ザッカーバーグCEOは今年5月、投資回収の手段として「クラウドコンピューティング事業も確実に選択肢に含まれる」と述べており、今回の報道は同社の戦略を裏付けるものとなっています。
