アメリカのIT大手「メタ(Meta)」は、日常的に利用できる新たなAI(人工知能)搭載の小型端末「Muse Charm(ミューズ・チャーム)」を発表しました。若者の間で流行しているバッグチャームやレトロなデザインを取り入れたとしていますが、これまでのAI端末の不振や同社のプライバシー問題から、普及には課題も指摘されているということです。
「Muse Charm」は、かつて流行した「たまごっち」を彷彿とさせるデザインを採用しています。Z世代と呼ばれる若者の間では現在、キーホルダーやバッグチャームをファッションの一部として楽しむ傾向が強まっており、こうした需要を取り込むねらいがあるとしています。
近年、美容製品などをチャームとして持ち歩くスタイルが若者の間で流行しています。例えば、ある美容ブランドは関連製品で年間2億1200万ドル(約329億円)の売り上げを記録し、その後10億ドル(約1550億円)規模で買収されました。また、中国の小売企業が販売したキャラクターのチャームも爆発的な人気を集め、2024年の収益は18億ドル(約2790億円)に達したということです。調査会社によりますと、世界のバッグチャーム市場は2030年までに10億ドル(約1550億円)以上に成長すると予測されています。
さらに、古いスマートウォッチをキーホルダーとして再利用する動きや、デジタルカメラ、折りたたみ式携帯電話などの「レトロ技術」への回帰も背景にあるとみられます。若者たちは、アルゴリズムに依存した現在のテクノロジーに対して疎外感を感じており、直接触れることができる物理的な端末を求める傾向があるということです。
メタは、「Muse Charm」を通じて利用者が独自のアバターを設計し、AIをより身近に感じられるようにする方針です。また、端末を通じた取引から少額の手数料を得ることで収益化を図るとしています。
一方で、メタは過去に利用者の個人情報を無断で公開したとして、アメリカの連邦取引委員会(FTC)から制裁金を科されるなど、プライバシー保護をめぐる問題が度々指摘されてきました。このため、新たなAI端末が市場で広く受け入れられるかどうかは、利用者が利便性とプライバシーのリスクをどのように評価するかにかかっていると指摘されています。
