アメリカのIT大手グーグル傘下の動画配信サービス「YouTube」は、テレビ画面での視聴が増加していることを受け、ライブ配信や短い動画などの機能を拡充し、テレビでの視聴体験をより双方向的なものにしていく方針であることが明らかになりました。
IT専門メディアによりますと、YouTubeが最近公開した求人情報から、テレビなどの「リビングルーム」向けの開発や設計に注力していることが判明したということです。調査会社「eMarketer」のデータによりますと、アメリカにおけるYouTubeの視聴時間のうち、インターネットに接続されたテレビが占める割合は、2022年の約41%から2026年には44%以上に拡大すると予測されています。会社側は、最大の画面であるテレビでの利用者の関与を深めるねらいがあるとしています。
求人情報では、ライブ配信中のチャットやギフト機能、複数の端末を使った操作機能のほか、テレビでのショート動画をより双方向でコミュニティ主導のものにする取り組みが言及されています。また、アメリカやインドで採用活動を行っており、インド南部のベンガルールでは、テレビ向けのライブ配信技術を近代化するための技術拠点を拡大する計画だということです。
YouTubeは現在、テレビ向けにAI=人工知能を活用した音声検索機能などを順次導入しています。さらに、スマートフォンを使ってテレビの動画を操作する機能や、24時間連続で番組を配信する機能の開発も進めているということです。先月には、国際サッカー連盟(FIFA)と2026年のワールドカップに向けた提携をしたと発表しており、さまざまな端末で没入感のある視聴体験を提供する方針です。現在、YouTubeはアメリカのテレビ視聴全体の12.5%を占めるまでに成長しています。
一方で、テレビでの双方向性を高めることには課題も残されています。調査会社のアナリストは、「視聴者はスマートフォンと同じようにはテレビ画面を操作しないため、使い勝手が悪い」と指摘しています。これまでのところ、テレビでの双方向機能の利用は限定的であり、視聴者の行動に与える影響は少ないということです。
こうした課題があるものの、YouTubeはSNSと従来の動画配信サービスの中間に位置し、独自の地位を確立していることから、新たな機能の展開において優位に立つ可能性があるとみられています。テレビ画面での圧倒的なシェアを、双方向の視聴体験に結びつけることができるかどうかが今後の焦点となります。なお、この件についてYouTubeからのコメントは得られていないということです。