アメリカのテクノロジー企業「BuildForever」は、AI(人工知能)を活用して受信トレイを自動整理する新しいメールアプリ「Extra」の提供を開始したと発表しました。画像共有サービス「Pinterest」の元幹部らが開発したもので、従来のメール管理の仕組みを根本から見直したとしています。
同社によりますと、新アプリ「Extra」は、従来の件名やフォルダ、タグといった分類方法を廃止し、ユーザーの生活に合わせて受信トレイを整理する仕組みを採用しています。アプリを開くと最初に表示される「Today(今日)」タブには、膨大なメールの中から抽出された重要かつ最新の情報がリアルタイムで集約されるということです。
さらに、受信したメールの内容に基づき、家族の予定、旅行計画、ニュースレターといったカテゴリーごとに自動でタブが作成されます。これにより、ユーザーごとに最適化されたパーソナライズ体験が提供されるとしています。
開発の背景には、現代人が抱える「メールの過負荷」という課題があります。BuildForeverの共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるナヴィーン・ガヴィニ氏は、Pinterestで12年近く製品開発を主導した経験を持ちます。同氏は、「仕事で大量のメールを処理した後、個人の受信トレイを開くと未処理のタスクが山積みになっており、どこから手をつければよいか分からない状態だった」と指摘しています。メールが蓄積することで重要なメッセージが埋もれてしまう構造的な問題を解決するため、今回の開発に至ったということです。
「Extra」は、裏側でAI技術を駆使してメールの学習や整理を行っていますが、同社はあえて「AIアプリ」として宣伝しない方針です。ガヴィニCEOは、「多くの企業がAIパーソナルアシスタントを標榜していますが、一般のユーザーが求めているのは、日常の基本的な課題の解決です」と述べ、ユーザーの利便性向上に注力する姿勢を強調しています。
アプリ内には、メールの検索や購読解除、音声での返信をサポートするAIアシスタント機能も搭載されています。「Today」タブでは、対応が必要なタスク、今日の予定、知っておくべき情報が整理され、タスクを完了するとスワイプで消去できる仕組みとなっています。また、不要なマーケティングメールの購読解除や、特定の送信者からのメールを一括削除する機能も備えており、ストレージ容量の節約にもつながるということです。
このほか、ニュースレターを読みやすく表示する「News」タブや、メールから予定を抽出してカレンダーへの追加を提案する「Events」タブ、ショッピング関連のメールを魅力的な商品カタログのように表示する「Shop」タブなどが用意されています。現在、同アプリはGmailのみに対応していますが、将来的には独自のメールアドレスを提供する可能性もあるとしています。
同社はこれまでに、シードラウンドで950万ドル(約14億7000万円)の資金調達を実施したと発表しました。投資家には、著名なIT企業の共同創業者や幹部らが名を連ねています。
「Extra」は現在、iOSおよびウェブブラウザ向けに提供されており、ウェイティングリストに登録したユーザーから順次利用可能となっています。当面は無料で提供し、将来的に収益化を図る方針です。同社は今後、このアプローチをメッセージングやカレンダーなど、他の分野にも拡大していくとしています。
