動画生成AIを開発するアメリカの新興企業「Luma(ルーマ)」は、Amazonプライムなどで宗教向け映像作品を手がける「Wonder Project」と提携し、AIを活用した新たな映像制作会社「Innovative Dreams」を設立したと発表しました。
提携による最初の作品は、イギリスの俳優ベン・キングズレー氏が主演を務める「The Old Stories: Moses(原題)」で、今春にAmazonの「プライム・ビデオ」で配信される予定だということです。
LumaはSNSへの投稿で、「新たな制作会社では、映画監督のジョン・アーウィン氏のチームとLumaの技術者が協力し、革新的なアイデアの実現を支援する」としています。制作現場では、Lumaが開発したAIツールを活用する方針です。これにより、セットや照明の変更、俳優の映像の取り込みなどをリアルタイムで行うことが可能になるということです。
Lumaは、「これまでの仮想背景を用いた撮影や、俳優の動きをデジタル化する技術では、撮影後の編集作業に頼る部分が大きかった」と指摘しています。その上で、AIを活用することで「単に制作が速く安くなるだけでなく、従来よりも質の高い作品ができる」としています。
AI企業が映像制作に直接乗り出す動きは広がっています。競合企業である「Runway」の共同創業者、クリストバル・バレンズエラCEOも今週、「映画スタジオは1本の映画に費やす1億ドル(約155億円)の予算を、AIを使って50本の映画制作に充てるべきだ」と述べ、ヒット作を生み出す確率を高める戦略を提唱しました。
Lumaの創業者であるアミット・ジェインCEOも同様の考えを示しています。ジェインCEOは、ハリウッド映画の制作費が高騰し、映画作りがますます制限されていると指摘し、生成AIを使えば品質を落とすことなく、より速く、安く、効率的に映画を制作できるとしています。
今回提携した「Wonder Project」は、ジョン・アーウィン監督と動画配信大手ネットフリックスの元幹部によって2023年に設立されました。世界中の信仰を重んじる視聴者向けにコンテンツを提供することを目的としています。ただ、新会社が宗教関連のコンテンツのみに特化するのか、他の分野にも事業を拡大するのかについては、現時点では明らかになっていないということです。
アーウィン監督は、新会社が「リアルタイム・ハイブリッド映画制作」と呼ばれる新たな手法を採用すると説明しています。これは、俳優の動きをデジタル化する技術と、巨大なLEDスクリーンに仮想の背景を映し出す技術を組み合わせたものです。LumaのAIツールを使うことで、人間の俳優をどこで撮影しても本物のような風景の中に配置できるほか、俳優の表情や動きを保ったまま、AIで生成した全く別の顔に置き換えることも可能になるということです。
