女性のみで運営される数少ないベンチャーキャピタル(VC)の1つであるアメリカの「キャピタルF(Capital F)」は、1700万ドル(約26億3500万円)規模となる初めてのファンドを設立したと発表しました。
同社は、女性が需要を牽引する市場である「女性経済」に関連する企業を支援する方針です。共同創業者のマーガレット・コブレンツ氏によると、主な投資対象は「女性の健康」「デジタルコマース」「AIツール」の3つの分野になるということです。
もう一人の共同創業者であるドーン・ドブラス氏は、AIツールについて「女性は安全性や信頼性に関する問題の被害者になりやすい傾向があるため、ますます重要になっている」と指摘しています。
コブレンツ氏とドブラス氏は、過去30年間にわたり共に企業経営に携わってきました。ドブラス氏は美容小売業「クレド・ビューティー」のCEOを務めたほか、大手アパレル「ギャップ(Gap)」などで経験を積みました。コブレンツ氏もアパレル企業での勤務を経て、自身の高級ニットウェアブランドを立ち上げ、最終的に事業を売却した経歴を持っています。
両氏が共同でVCを設立した背景には、長年経営幹部として働く中で「女性の割合が非常に少ない」と実感したことがあるということです。コブレンツ氏は、企業でのキャリアを終えた後にエンジェル投資を始め、「誰が資金を提供し、誰が企業を所有するかが非常に重要である」と認識するようになったとしています。
資金調達の過程では、より多くの女性を投資の世界に呼び込むため、アメリカ各地で投資に関心のある層に向けたイベントを開催しました。その結果、ファンドの出資者の約80%を女性が占めることになりました。出資者には、アパレルブランド「オールドネイビー」の元トップであるジェニー・ミン氏や、家具小売「ポッタリーバーン」の元CEOであるマルタ・ベンソン氏などが名を連ねています。
ドブラス氏は、「女性はファンドへの投資の場に招かれないことが多いことに気づいた」と述べています。同社では、起業家が少なくとも2人の出資者と面談するまでは資金提供を行わない方針だということです。こうした関係構築が、アドバイザーや取締役への就任、追加投資、さらには営業先の紹介などにつながっているとしています。
過去10年間、長らく資金不足や関心の低さに直面してきた女性の健康など、女性特有の課題に焦点を当てたテクノロジーへの投資の重要性が議論されてきました。コブレンツ氏は、こうした議論が影響力のあるイノベーションを生み出し始めているとしています。
キャピタルFはこれまでに13社に投資を行いました。主に創業初期の企業を対象としており、1社あたりの投資額は25万ドル(約3875万円)から100万ドル(約1億5500万円)としています。投資先には、遠隔医療のスタートアップや、月経周期を記録するプラットフォームのほか、昨年アメリカのIT大手グーグル(Google)に買収されたAI企業「ビッグ・サーAI(Big Sur AI)」などがあります。
同社は、2027年末までに今回のファンドの資金の運用を完了する計画だということです。
