アメリカの運輸当局は、新興企業「コンマ・エーアイ(Comma.ai)」が開発した後付けの自動運転支援システムを搭載した車両で、3人が死亡する事故など計5件の衝突事故が発生したとして、同社の技術に対する調査を開始したと発表しました。
米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の欠陥調査局(ODI)によりますと、報告された事故は、同一車線を低速で走行している車両や停止している車両をシステムが検知できず、適切に反応しなかったことによるものだということです。これら5件のうち4件の事故で最大11人が重軽傷を負い、2件の事故では計3人が死亡したとしています。
ODIは、死亡事故の少なくとも1件を含む複数の事故において、コンマ・エーアイのソフトウェアを第三者が独自に改変したバージョンが使用されていた可能性があると指摘しています。
コンマ・エーアイは、著名なハッカーであるジョージ・ホッツ氏が2015年に設立した企業です。市販の自動車に取り付け可能なデバイスと、「オープンパイロット」と呼ばれるソフトウェアを提供しています。同社は、テスラの「オートパイロット」などに似た機能を追加することで、「運転の負担を軽減する」ことを目標に掲げて事業を展開しています。なお、ホッツ氏は2022年に日常的な業務から退いており、現時点で同社および同氏からのコメントは得られていないということです。
同社のウェブサイトでは、システムが車線内の他の車両に合わせて自動でハンドル操作や加減速を行うと説明しています。一方で、ドライバーはペダルを踏むかキャンセルボタンを押すことで、常に手動運転に切り替えられる状態を保つ必要があると警告しています。また、システムにはカメラを用いたドライバー監視機能も搭載されており、前方への不注意や居眠りを検知する仕組みになっているということです。
死亡事故の1件は、2024年2月に南部ルイジアナ州で発生したとみられています。現地の警察によりますと、サードパーティ製の改変ソフトウェアを利用していたトヨタの「RAV4」が、別の事故の処理に当たっていた警察車両に追突し、後部座席に乗っていた2人が死亡したということです。もう1件の死亡事故については、現時点で詳細は明らかになっていません。
高度な運転支援システムが、停止中や低速の車両を認識しづらいという課題は、これまでも自動車業界全体で指摘されてきました。過去にはテスラやフォードのシステムでも同様の調査が行われています。
コンマ・エーアイ自身も、急ブレーキが必要な状況において、システムによる減速や加速の幅には制限があるとして、同一車線上の停止車両には注意するようウェブサイト上で呼びかけています。
