フランスのエネルギー関連のスタートアップ企業「NOC Energy」は、セメントやガラス工場などの既存の化石燃料施設に後付けできる、ハイブリッド型の電気加熱システムを開発したと発表しました。
同社によりますと、このシステムは、従来の化石燃料による加熱と電気による加熱を組み合わせることで、企業がエネルギーコストを抑えながら化石燃料の使用量を削減できるということです。
NOC Energyの共同創業者でCEOのカルロス・セバジョス氏は、「多くの企業は電化を進めたいと考えていますが、現時点では化石燃料を完全に手放すことには慎重です。エネルギーの移行期において、最も低コストな選択肢を求めている」としています。
開発されたシステムは、既存の施設に追加で設置することが可能です。電気料金が高騰した場合には、電気加熱のシステムを停止し、化石燃料のみの稼働に切り替えることができるということです。
また、このシステムは現在1,200度の高温を供給することが可能で、将来的には1,500度を目指す方針です。これまでこのような高温は、化石燃料や高価な水素以外で実現することは難しいとされていました。
NOC Energyはこのほど、シードラウンドで270万ドル(約4億1800万円)の資金調達を実施したと発表しました。投資ファンドの「360 Capital」が主導し、「SOSV」や「Desai VC」も参加したということです。
システムの技術的な特徴として、電磁誘導加熱(IH)の仕組みが採用されています。直径2.5メートルのセラミック容器内に鋼球を詰め、その周囲に銅コイルと断熱材を配置しています。電気が流れると磁場が発生して鋼球が加熱され、そこに空気を送り込むことで、ガラス窯やセメント工場などの必要な箇所へ熱を供給する仕組みです。
従来の抵抗加熱方式では、1,000度を超える高温環境下では部品の寿命が短くなるという課題がありました。しかし、NOCのシステムでは、熱を発生させるコイル自体が分厚い断熱材に守られて室温に保たれるため、耐久性が高いとしています。
さらに、このシステムは断熱材の効果によって数時間にわたって熱を蓄えることが可能です。風力や太陽光などで電気料金が安い時間帯に蓄熱し、価格が高騰した際にその熱を利用するなど、柔軟な運用ができるということです。
同社はこれまでに、小型のパイロットシステムで1万5000時間の稼働試験を完了しています。現在はフランス国内のガラスメーカーとセメントメーカー向けに、より大規模な実証システムを2基建設しており、今年5月に稼働を開始する予定です。
セバジョスCEOは、「ハイブリッド化によって将来の不確実なリスクを軽減できるため、現在の地政学的な課題を背景に、非常に魅力的な選択肢となっている」としています。
