次世代のクリーンエネルギーとして期待される核融合発電の分野で、1億ドル(約155億円)以上の資金調達を実施したスタートアップ企業の動向が明らかになりました。技術革新を背景に、実用化に向けた民間投資が急加速しているということです。
核融合発電は、太陽のエネルギー源である核融合反応を地球上で再現し、無尽蔵に近いエネルギーを生み出す技術として期待されています。これまで実用化は困難とされてきましたが、高性能な半導体や高度なAI、そして高温超電導磁石の開発が進んだことで、より精巧な原子炉の設計が可能になったということです。さらに、2022年末にアメリカ・エネルギー省の研究所が、投入したエネルギーを上回るエネルギーを生み出す「科学的ブレークイーブン」を達成したと発表したことが、民間投資を後押しする大きな要因となりました。
こうした中、アメリカの「コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)」は、これまでに約30億ドル(約4650億円)を調達したということです。同社はマサチューセッツ州で実証炉を建設中で、2026年末から2027年初頭の稼働を目指しています。その後、出力400メガワットの商用炉をバージニア州に建設する方針で、IT大手グーグルが電力の半分を買い取ることで合意したとしています。
1998年に設立された「TAEテクノロジーズ」は、これまでに17億9000万ドル(約2775億円)を調達しました。同社は2025年12月、トランプ次期大統領のSNS運営会社との合併を発表しました。合併後の企業価値は60億ドル(約9300億円)に上るということです。
ワシントン州に拠点を置く「ヘリオン」は、2028年までに核融合炉からの電力供給を開始する計画です。最初の顧客はマイクロソフトになるとしています。これまでに10億3000万ドル(約1597億円)を調達したということです。
「パシフィック・フュージョン」は、9億ドル(約1395億円)の資金調達を実施しました。同社は電磁パルスを用いた慣性閉じ込め方式を採用しており、開発目標の達成に応じて段階的に資金を受け取る仕組みを導入しているということです。
「シャイン・テクノロジーズ」は、中性子テストや医療用アイソトープの販売から事業を開始し、放射性廃棄物のリサイクル技術の開発も進めています。これまでに10億ドル(約1550億円)を調達したということです。
カナダの「ジェネラル・フュージョン」は、これまでに6億1200万ドル(約949億円)を調達しましたが、資金難から人員削減を実施しました。2025年1月には、特別買収目的会社(SPAC)を通じた株式上場により、新たに3億3500万ドル(約519億円)を調達する計画を発表しました。
「イネルティア・エンタープライズ」は、アメリカ国立点火施設(NIF)の元主任科学者らが設立しました。レーザーを用いた慣性閉じ込め方式を採用し、4億5000万ドル(約698億円)を調達したということです。
イギリスの「トカマク・エナジー」は、球状トカマク技術を開発しています。これまでに3億3600万ドル(約521億円)を調達し、次世代炉の建設と超電導磁石事業の拡大を進める方針です。
ワシントン州の「ザップ・エナジー」は、電流を用いてプラズマを圧縮する方式を採用しています。これまでに3億2700万ドル(約507億円)を調達したということです。
「タイプ・ワン・エナジー」は、ステラレータ型の核融合炉を開発しており、これまでに2億6900万ドル(約417億円)を調達しました。テネシー川流域開発公社(TVA)の石炭火力発電所跡地に施設を建設し、2030年代半ばの稼働を目指すとしています。ドイツの「プロキシマ・フュージョン」も同じくステラレータ型を採用しており、これまでに1億8500万ユーロ(約305億円)を調達したということです。
一方、日本の「京都フュージョニアリング」は、核融合炉の周辺機器の開発に特化しています。これまでに1億9100万ドル(約296億円)を調達し、業界全体のサプライヤーとなることを目指す方針です。
ドイツの「マーベル・フュージョン」は、レーザー慣性閉じ込め方式を採用し、1億6200万ドル(約251億円)を調達しました。アメリカの大学と共同で実証施設を建設し、2027年の稼働を目指すとしています。
イギリスの「ファースト・ライト・フュージョン」は、これまでに1億800万ドル(約167億円)を調達しました。同社は自社での発電所建設を断念し、他社への技術提供に注力する方針を明らかにしました。
コロラド州の「エキシマー」は、レーザー慣性閉じ込め方式の技術を再設計し、これまでに1億ドル(約155億円)を調達したということです。
