アメリカのベンチャーキャピタル大手「アクセル(Accel)」は、インド市場に特化した5億5000万ドル(約852億円)の新たなファンドを設立したと発表しました。今回の設立は、同社が世界規模で進める総額35億ドル(約5425億円)の資金調達の一環だということです。
関係者によりますと、新たなインド向けファンドには募集枠を上回る応募があり、わずか数週間で資金調達を完了しました。前回の6億5000万ドル(約1007億円)のファンド設立から1年7か月での立ち上げとなります。前回ファンドの資金はまだ55%以上が投資可能な状態としており、手元資金が潤沢な中での異例の早期調達となりました。
アクセルは、インドにおける次のスタートアップ企業の成長は、AI(人工知能)だけでなく、消費者向けインターネット、フィンテック、高度製造業などが牽引すると分析しています。AIについては単独の投資分野としてではなく、これらの各産業の基盤となる共通技術になりつつあると位置づけています。
同社のパートナーであるシェーカル・キラニ氏は、「私たちが注力する初期段階の企業向けには、市場に十分な資金が存在している」と述べています。そのうえで、「国内で最も優れた企業を発掘し、世界的な成功へと導くための投資を継続する」方針を示しました。
新ファンドからの投資開始は2027年になる見通しだということです。それまでは、前回のファンドからの投資を継続するとしています。
世界の投資家の間では、インドから世界に通用するAI企業が生まれるかどうかが議論の的となっています。アクセルは、大規模言語モデルなどの基礎開発ではなく、企業や消費者向けのAIアプリケーションやインフラ、ソフトウェアの開発にインドの勝機があるとしています。
同社のパートナー、プラヤンク・スワループ氏は、「先行企業は大規模言語モデルの開発に集中しているが、アプリケーションの分野にこそ大きな機会がある」と指摘しています。インドのスタートアップ企業は、既存のAIモデルを活用し、国内の優秀な技術者と組み合わせて企業向けの課題解決を図る方針です。
実際に、インドの消費者や企業の間でAIの普及が急速に進んでおり、国内市場が拡大しているということです。「オープンAI」や「アンスロピック」などの主要AI企業も、アメリカに次ぐ巨大市場としてインドを位置づけています。
ベンチャーキャピタル業界全体では投資が減速する傾向にあるものの、世界的な投資会社によるインドへの注目は再び高まっています。「ピークXVパートナーズ」がインドおよび東南アジア向けに13億ドル(約2015億円)を調達したほか、「ジェネラル・カタリスト」は今後5年間でインドに50億ドル(約7750億円)を投資する計画です。「ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ」も、3億ドルから3億5000万ドル(約465億円から542億円)規模の新たなインド向けファンドを検討しているとされています。
今回のインド向けファンドは、アメリカ、ヨーロッパ向けファンド、および13億5000万ドル(約2092億円)の成長企業向けファンドと同時に設立されました。アクセルは、創業初期の段階で最初の投資を行うという基本理念を維持しており、これまで支援した企業の約80%で最初の機関投資家となっています。今後もこの戦略を通じて、有望な企業の成長を長期的に支援していく方針です。
