アメリカのスタートアップ企業「ラディファイ・メタルズ(Radify Metals)」は、プラズマ技術を用いてレアアース(希土類)などの金属を精製する新たな小型リアクターを開発したと発表しました。環境負荷を大幅に抑えながら効率的に精製できるとしており、レアアース市場における中国の支配的な状況に対抗する狙いがあるということです。
レアアースは世界の金属市場における規模は小さいものの、貿易摩擦の際に中国が交渉のカードとして利用するなど、地政学的に重要な役割を担っています。アメリカなどは中国への依存から脱却するため、新たな鉱山の開発や磁石・モーター製造の国内回帰を進めていますが、サプライチェーンの構築には時間がかかっているのが現状です。
同社のザック・デトワイラー最高経営責任者(CEO)は、金属酸化物を純粋な金属に変換する精製工程が、サプライチェーンにおける「欠落した中間部分」だと指摘しています。従来の精製方法では熱や化学物質を使用するため、深刻な環境汚染が課題となっていました。
今回開発された技術は、水素を加熱してプラズマ状態にし、そこに金属酸化物の粉末を吹き込んで酸素を取り除く仕組みです。排出される廃棄物は水蒸気のみで、環境に配慮した技術だとしています。これまでプラズマを用いた精製はコストが高いとされていましたが、同社は電力制御技術の向上などにより、商業化のめどを立てたということです。同社はこれまでに、投資家から300万ドル弱(約4億6500万円)の資金を調達しています。
現在は、磁石や電子機器に不可欠なジスプロシウムとサマリウムの精製に注力しています。また、開発されたリアクターは従来のものより小型で、設定を変更するだけで異なる金属の精製に切り替えることが可能です。これにより、中国が特定のレアアースの価格を不当に引き下げた場合でも、チタンやジルコニウムなどの別の金属の精製に切り替えることで、価格変動のリスクを回避できるとしています。
現在、同社はカリフォルニア州の研究所で技術の改良を進めており、今年末までに1日あたり数キログラムの純金属を生産する目標を掲げています。さらに数か月以内には、1日最大100キログラムを生産できる試験用リアクターを建設するため、追加の資金調達を行う方針です。
将来的には、生産規模を拡大することで、中国産レアアースと同等かそれ以下のコストでの生産を目指すとしています。また、ハフニウム、ウラン、スカンジウムなどのほか、長期的には鉄やアルミニウムといった一般的な金属の精製にも応用し、金属製造のあり方そのものを変革したいとしています。
