アメリカの諜報機関が令状なしで海外の通信を収集・分析することを認める法律の期限が4月30日に迫る中、アメリカ議会では、国民のプライバシー保護に向けた法改正を行うかどうかで意見が対立しているということです。
外国情報監視法(FISA)第702条として知られるこの法律は、国家安全保障局(NSA)やCIA、FBIなどの連邦機関に対し、個別の捜査令状なしでアメリカ国内を経由する海外の通信を記録することを認めています。
しかし、この監視の過程で、海外の監視対象者とやり取りをするアメリカ国民の通話記録や電子メールなど、膨大な個人情報も収集されているということです。これは、国民を政府の監視から守る憲法上の保護があるにもかかわらず行われています。
先週、議会で短期の延長が可決されたものの、4月30日の期限を前に、プライバシー保護を重視する超党派の議員グループは、国民の権利を守るために大幅な法改正が不可欠だと主張しています。一方で、ホワイトハウスは現行のまま法律を延長することを望んでいるとみられています。
超党派グループが3月に議会に提出した「政府監視改革法案」は、令状なしの監視プログラムを制限することを目的としています。具体的には、政府機関が捜査令状を取得せずにアメリカ国民の通信を検索できる「バックドア検索」と呼ばれる抜け穴を塞ぐ方針です。
また、政府機関がデータブローカーから国民の位置情報などを購入することを禁止する条項も含まれています。FBIの幹部は3月の議会公聴会で、裁判所の許可を得ずに国民の位置情報を購入していることを認めており、与野党の双方がこの抜け穴を塞ぐことに意欲を示しています。
この抜け穴は、諜報機関が商業データを購入し、AIモデルを使用して膨大な位置情報を分析することを可能にしています。これは現在、アメリカ政府がAI開発企業のAnthropicやOpenAIとの間で行っている、ツールの無制限使用に関する交渉においても争点となっているということです。
法案が可決されるかは不透明ですが、技術の進歩により監視が容易になっていることから、議員らは法改正が必要だとしています。情報委員会で最も長く務めるロン・ワイデン上院議員は、歴代の政権が第702条の秘密の法的解釈に依存し、国民のプライバシー権に直接影響を与えていると警告しています。
仮に4月30日に第702条が期限切れとなった場合でも、アメリカ政府の監視活動が直ちに終了するわけではないということです。外国情報監視裁判所(FISC)が政府の監視活動の合法性を毎年認定する仕組みがあるため、法律が失効しても、監視プログラムは少なくとも1年間は継続される可能性があるとしています。
さらに、アメリカ政府は議会の監視を受けない大統領令12333号など、他の強力な監視権限も保持しており、これによっても多くのアメリカ国民の個人的な通信が収集されているということです。
