イギリス政府が再びアップル社に対し、暗号化されたiCloudデータへのアクセスを求める秘密命令を発行したと、フィナンシャル・タイムズが報じました。
この報道によれば、イギリスの内務省は9月初旬にアップル社に対し、イギリス市民の暗号化されたクラウドバックアップにアクセスできるシステムの構築を求める命令を送ったということです。
プライバシー保護団体は、このような命令に従うことは間違いであり、世界中のユーザーのプライバシーに影響を与えると警告しています。
アップル社とイギリス内務省の広報は、TechCrunchのコメント要請に応じていないということです。
イギリス政府がアップル社に「技術能力通知」を送ったのはこれが2回目であり、最初の命令は1月に発行されました。その際、内務省は、世界中のアップルユーザーアカウントのクラウドストアバックアップへのアクセスを求めていました。このバックアップは、ユーザーが選択することでiCloudのバックアップをエンドツーエンドで暗号化し、アップル社ですらアクセスできないようにする「高度データ保護(ADP)」機能によって保護されています。
この最初の命令は、批判者から「スヌーパーズ・チャーター」とも呼ばれる2016年の調査権限法に基づいて発行され、アップル社は新規ユーザーに対するADPの登録を停止し、既存ユーザーに対しても機能を無効にするよう求められました。
当時、アップル社は「これまでにバックドアやマスターキーを製品やサービスに作成したことはなく、今後も作成しない」と述べています。
前回のイギリス政府の試みは、アメリカの国家情報長官であるトゥルシー・ギャバード氏が、トランプ政権との交渉後にイギリス政府が要求を撤回したと発表したことで、失敗に終わったようです。
アップル社はこの法的要求に異議を申し立て、裁判所はその手続きが秘密裏に行われるべきではないと判断したということです。